女優長谷川奈央(28)が映画「美しき誘惑-現代の『画皮』-」(赤羽博監督、5月14日公開)で映画に初主演する。

画皮というのは、美しい人間の皮をかぶった中国の妖怪。ダブル主演の相手役は市原綾真(24)。長谷川演じる山本舞子は、昼は銀行で副頭取の秘書を務め、夜は銀座の高級クラブのホステス。元首相の父親を持つ、将来の総理候補・塩村太郎(市原)が銀座の店の客として来て出会い、その美しさで骨抜きにする。その正体は九尾のきつねに取りつかれた妖魔で、人のエネルギーを吸い取って、見た目の若さを保ち続けて生きている。

劇中でピアノに初挑戦した。赤羽監督の勧めで、一からレッスンを積んだ。

「ピアノは全く未経験だったんですが、去年の自粛期間中に時間があったのでレッスンしてもらって、自分で弾くシーンに挑戦しました。初体験でショパンを弾いたんですが、自分でも、結構かっこいいなと思ってます(笑い)。ピアノが弾けるというのは、女優をやっていく上で武器にもなると思うのでラッキーでした」と笑顔をみせた。

19歳の時にスカウトされて、女優への道が開けた。

「実家のある名古屋の居酒屋でアルバイトしながら毎日、手羽先を揚げていました(笑い)。特になりたいものはなかったので、私にはできないと思って1回は断りました。でも、父が『せっかくスカウトしてもらったんだから、やった方がいいよ』と背中を押してくれました」と感謝の言葉を口にする。

「それまでは、お芝居なんて全くしたことがなかったんです。高校の部活がダンス部で、文化祭でステージに上がってスポットライト浴びたりもしていましたが、それは女優とは全然つながりませんでした」。

女優の道に足を踏み入れてみて、すぐに後悔した。

「最初は、向いていないなと後悔しました。実家に帰りたいとばかり思っていました。でも、演技のワークショップで初めて褒められた時にすごくうれしかったんです。そこからお芝居が大好きになって、舞台とかに出るようになって、役を演じることが楽しいと思えるようになりました。人に笑ってもらう、お客さんの反応があるっていうのがすごく楽しかったんです」と振り返った。

舞台で演じることの楽しさを知った長谷川だが、映画、ドラマでは、また違う壁にぶつかった。

「舞台と映像は、それぞれの楽しみがある。舞台は一連の流れの中で気持ちがつながったまま、最初から最後まで演じきることができる。映像作品は大変でした。同じセリフを何回も言うとか、時系列をバラバラに撮って、現場でパッと気持ちを作るとか。この作品では相手が永島敏行さんとか、モロ諸岡さんと、大先輩の方が相手だったりもしたので緊張しました。でも、その緊張した中で難しさを感じるとともに、集中力の大切さを教えていただきました」。

舞台、ドラマ、映画と経験を積み重ねることで、着実にステップアップしてきた。

(続く)

◆長谷川奈央(はせがわ・なお)1992年(平4)7月4日、愛知県生まれ。11年にスカウトされ、12年に映画「イヤリング」で女優デビュー。同年「笑劇SUMMER」で舞台デビュー。13年にNHK「美人の多い料理店」でドラマ初出演。17年舞台「MOTHER マザー~特攻の母 鳥濱トメ物語~」。18年NHK「ぬけまいる~女三人伊勢参り」。19年映画「世界から希望が消えたなら。」。20年映画「心霊喫茶『エクストラ』の秘密 -The Real Exorcist-」、「夜明けを信じて」。「美しき誘惑」ではイメージソング「Selfish Love」の歌唱も担当している。趣味はスーパーカー、自動車、バイク(中型自動2輪免許取得)。特技はヒップホップダンス、殺陣、手話。167センチ。血液型A。

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