25日(日本時間26日)に米ロサンゼルスで開催された第93回アカデミー賞授賞式で、オスカー史上最高齢となる83歳で29年ぶり2度目の主演男優賞に輝いたアンソニー・ホプキンスが、「この年で、受賞するとは思っていなかった」と授賞式を欠席した理由を明かした。

ホプキンスは先日行われた第74回英国アカデミー賞でも主演男優賞に輝いたものの授賞式は欠席し、滞在先のホテルで絵を描いていて監督からのメールで受賞を知ったと明かしていた。

この日行われた授賞式で、最後のトリで発表された主演男優賞に輝いたのは、最有力候補といわれた昨年8月に大腸がんでこの世を去ったチャドウィック・ボーズマンさんではなく、「ファーザー」で認知症の父親を演じたホプキンスだった。

しかし、そこにはオスカー像を受け取るはずのホプキンスの姿はなく、大トリでまさかの受賞スピーチがないままあっけなく幕は閉じ、最後の大どんでん返しに視聴者はあぜんとなった。

そんなホプキンスは授賞式が終了した数時間後に故郷ウェールズからSNSにメッセージ動画を投稿。受賞の喜びとともにボーズマンさんへのメッセージも送った。「83歳という年齢で、この賞を取れるとは本当に思っていませんでした。アカデミーに感謝しています。ありがとうございます。そして早すぎる死を遂げたチャドウィック・ボーズマンに敬意を表したいと思います。本当に予想していなかったので、とても名誉なことで光栄です」と笑顔を見せながら感謝の言葉を述べた。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、83歳という年齢で自宅から会場となったロサンゼルスまで渡航するのはリスクが大きいと判断したとみられるが、他の欧州在住の候補者のようにリモートで出演することもなかった。時差の関係から授賞式が始まったのは午前1時だったこともあり、当日は就寝して、受賞の瞬間はベッドの中だったのかもしれない。

ホプキンスは、レクター博士を演じた「羊たちの沈黙」(91年)で主演男優賞を受賞して以降、「日の名残り」(93年)や「ニクソン」(95年)で主演男優賞の候補となっていたほか、昨年も「2人のローマ教皇」で助演男優賞にノミネートされていたが、いずれも受賞を逃している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)