柳楽優弥(31)と田中泯(76)が26日、都内で、ダブル主演する映画「HOKUSAI」(28日公開、橋本一監督)の公開直前イベントに出席した。

同作は、世界的なアーティストである葛飾北斎の生涯を初めて描いた作品。北斎の青年期を柳楽が、老年期を田中が演じている。

コロナ禍の影響で公開が1年延期になったことに柳楽は「これもこの作品の持っている運命だと思います。この時期に公開できている事に、とても意味があると感じています」。北斎役について、田中は「老年期、じじいの北斎を演じさせて頂きました。公開2日前にしてかなり緊張している。これからご支援をお願いします」。

報告会の前には、北斎とゆかりの深い東京・墨田区の牛嶋神社に、キャスト一同でヒット祈願をしたという。柳楽は「悪いものを断ち切る力が北斎にはあると思う。その力で今のご時世を断ち切っていけたら」と話した。

映画や絵で世界は変えられるか、という代表質問に、柳楽は「思います。今までアートと映画から勇気をもらってきた。だからこそ、映画を通して人々は、モチベーションを変える力がある」と真っすぐな目で話した。

田中は「恐らく1人1人に届くモノはあると思う。力はあります、絶対ある。世界が変えられるかどうか、はっきりした答えは出せないが、少なくとも人の心に伝わることは間違いない」と答えた。

北斎は「こんな日だからこそ、絵を描く」と筆をとり、生涯絵を描き続けたという。それにちなみ、こんな時だからこそやりとげたい事は何かとの質問に、柳楽は「映画を映画館で見たいです。どんな状況であっても、時代がどうこうじゃなくて信じていく気持ちが大切。そういう日々が来ることを信じてます」。田中は「こんな時だからこそ、いつもと変わらない1日を過ごしたい。『生きた』という実感が湧ける1日を過ごしたい」。

最後に作品のメッセージを問われた柳楽は「今の状況をトンネルで例えると、出口を探す日々だと思う。演技を表現する場は、そんなトンネルに光をともし、出口はここだよと、案内する部分を担うと思う。ぜひ映画を見ていただければ」と話した。

田中は「北斎という人はその時代と真っ向から対峙(たいじ)した。それを言葉にも絵にもした。そうした北斎を今の私たちは非常識だとは思わない。時代が変わるにつれ、常識は変わる。こんな時だからこそ、我々は常識に従順に行きすぎているんじゃ無いかと思う。北斎からそう感じた。そして、北斎は最後まで人を愛し続けた。是非、そんな北斎に愛されに映画を見に来て欲しい」と話した。

イベントには永山瑛太(38)玉木宏(41)瀧本美織(29)も出席した。