女優藤山直美(62)が15日、主演舞台「おあきと春団治~お姉ちゃんにまかしとき~」(7月3~26日、東京・新橋演舞場)のオンライン取材会に出席した。

上方落語の爆笑王の異名をとった桂春団治を支えた姉おあきを描いた物語で、直美にとっては6年ぶりの新作喜劇、東京では2年ぶりの公演となる。

稽古開始から約2週間たち「1本のお芝居として筋が通ってきて、それぞれの性格、人間、人生が出てきたのが昨日くらい。それまでは闇鍋みたいにわちゃわちゃやってた」と、新作の難しさと、感じ始めた手応えを語った。

破天荒に生きた春団治の人間的な魅力を「根本、チャーミングな人。規格外の人」、演じる姉おあきについて「お姉さんが一番のひいきだったのでは」と推察した。

父で昭和の喜劇王と呼ばれた藤山寛美さんも「規格外の人」だった。直美は「お母さんがお父さんとお金のことで大げんかするんです。もう子供を連れて出て行くことを言おうと中座に行くんですが、芝居を見てたらあまりにもおもしろくて『藤山寛美うまいなあ』って、別れるのを忘れてお父さんのおかずを買って帰ったんですって。芸としてはうならせた人」と話した。

春団治を描いた芝居には縁がある。64年、寛美さん主演のNHK「初代春団治」で、春団治の娘春子を演じデビューした。当時のことを振り返り「うちのお父さんは、このせりふを言えたらお人形買ってあげると、物で釣ってましたね。あかんのじゃないですか(笑い)。私も釣られてやってました」と笑った。

その後も春団治を描いた舞台で父と共演、沢田研二、故中村勘三郎さんを相手に春団治の妻を演じてきた。

今回演じる姉おあきについては「ええな、この役」と思っていた役どころだったという。直美は「きょうだいの情愛がちゃんと描かれていると思います。今回お話をいただいて良かったと思いました」と話した。

西川きよしが父親を、西川忠志が春団治を演じる。「きよし師匠は存在感がすごい。出てきはるだけでおもしろい! 舞台でご一緒させていただけるのがうれしい。ものすごく真面目で、忠志くんもまじめ。コツコツ親子最高です」と笑った。

コロナ禍で、ストレスがたまっている人が多いと感じる。直美は「ちょっとずつ、人間のベクトルがとがってる。喜劇を見て、小さな風穴でも開けてもらえるとうれしいです」と話している。

ほか田村亮、金子昇らが出席。脚本は寺田夢酔氏、演出は筒井庸助氏。