東京・歌舞伎座「九月大歌舞伎」が2日、初日を迎えた。

第1部は、六世中村歌右衛門二十年祭、七世中村芝翫十年祭として2演目が上演された。

「お江戸みやげ」では七世芝翫の長男中村福助が出演。福助は、13年の脳内出血による筋力低下で、現在もリハビリを続けている。18年9月に舞台復帰を果たし、今興行では舞台を歩くことを目標にしてきた。

常磐津文字福の役で冒頭から登場した福助は、約6分間の出番の最後、立ち上がって舞台上手に引っ込んだ。復帰以降は座った演技をしてきた。舞台を歩いたのは復帰後初ということで、観客からは大きな拍手が起こった。

公演を前に福助は「岡本町(歌右衛門)のおじさまと父の追善ということで、私も現在、リハビリに励んでおります。ふたりの偉大な存在に少しでも近づけるよう、自分にとっても、今回の出演は、日々のリハビリのモチベーションになっております。感謝しております」と話している。同演目はほかに中村芝翫、中村勘九郎、中村七之助が出演。

第1部はほか、中村梅玉、中村魁春による「須磨の写絵」。第3部は片岡仁左衛門、坂東玉三郎による「東海道四谷怪談」。2部は新型コロナウイルス陽性者が確認されたため6日まで休演。