松田聖子の映画デビュー作「野菊の墓」や、「Wの悲劇」などで知られる、澤井信一郎監督が3日午後7時5分、多臓器不全のため都内の病院で亡くなった。83歳だった。6日、東映が発表した。

喪主の妻郷子さんは東映を通じ、コメントを発表した。

「生前のご厚誼を深謝し、謹んでご連絡申し上げます。しばらく闘病生活を続けており、もう一度映画の現場に立つことを夢見ておりましたが、叶うことなく旅立ちました。お世話になった皆様にきちんとお別れができず誠に申し訳ございませんが、生前の故人の遺志により近親者で密葬として執り行う予定でおります。澤井の監督した作品をもう一度ご覧いただき、偲んでいただくのが何よりの供養になることと思います」

澤井監督は1938年（昭13）8月16日、静岡県生まれ。61年に東京外語大ドイツ語科卒業後、東映に入社。高倉健さん主演の「昭和残■伝　死んで貰います」や「動乱」などの助監督を経て81年「野菊の墓」で監督デビューした。

主な監督作品に、第9回日本アカデミー賞　最優秀監督賞・優秀脚本賞を受賞した84年「Wの悲劇」、85年「早春物語」、1986年「めぞん一刻」、88年「ラブ・ストーリーを君に」、91年「福沢諭吉」、93年「わが愛の譜　滝廉太郎物語」、98年「時雨の記」、02年「仔犬ダンの物語」、07年「蒼き狼　～地果て海尽きるまで～」など多数。

※■は人ベンに峡の旧字体のツクリ