サッカー元日本代表MF中田英寿氏(44)が8日、東京と石川を中継でつないで行われた「水出し 加賀棒ほうじ茶 にほんものエディション」メディア発表会に東京から参加し、自ら開発に携わった水出しの加賀棒ほうじ茶に「非常に良いものが出来たと思います」と自信を見せた。

この日、発売された「水出し 加賀棒ほうじ茶 にほんものエディション」は、ポッカサッポロフード&ビバレッジ監修のもと、中田氏がプロデューサーを務める「にほんもの/NIHONMONOプロジェクト」と、石川で1918年(大7)創業の有限会社油谷製茶の3者によって、半年間の期間をかけて開発した。同氏は「香りは非常に華やかだけど、甘みが来た後にスッと消えていくような、いつ何時飲んでもおいしい。ただ、うま味は重さにつながる。結果、食事中に飲めないお茶が増えている」と分析。「それ(うま味)がスッと消えるから、また手が伸びる。相反することをするので難しい。この香りをもうちょっと、このキレを出したいんだけど、中の厚みを出したいと、抽出時間含め、試した」と振り返った。

中田氏は、2009年(平21)から日本全国47都道府県をめぐる旅を始め、世界に誇れる日本の文化、同氏が実際に訪問した農家や工芸家、蔵元など、ものづくりの生産者と触れ合い、体験したこと、生産者の情報を発信する日本文化再発見ウェブマガジン「にほんもの」を立ち上げた。さらに、実際に足を運んだ約2000カ所の中から、同氏“こだわりの逸品”を購入できるオンラインストア「にほんものストア」も運営している。

中田氏は、水出しにこだわった理由を聞かれ「今回、1番、考えたのは食事中に飲めるお茶」と語った。その上で「数年前、生産地を回っている時に、茶葉農家の方が苦労されていた。その理由が、茶葉でお茶を飲む人が少なくなっていること。どのようにすれば、多くの方が飲んでくれるのかと考えた。多くの方が食事中に冷たいものを飲む。一方、生産者からすると、お湯で入れることが常識となっており、そこが乖離(かいり)している。解決するために、水出しだろうと」と語った。

その上で、加賀棒ほうじ茶を選んだ理由について「全国で作られているお茶の、ほとんどが蒸し製。うま味成分が強く出る。食事に合いそうなものを考えると、加賀のほうじ茶の、香りの高さに着目した。どうしても水出しだと、きれいな味は出るけれども、少し香りが弱くなる。加賀棒ほうじ茶ならではの焙煎(ばいせん)のかけ方にによる香りの高さ、甘さ。そこに、どのようにキレを作るかに苦労しましたが、油谷さんのところに行って、技術を見て、これならいけると思った」と笑みを浮かべた。

石川県の谷本正憲知事は「中田さんに商品を開発していただき、付加価値が加わったと言っても言いすぎではない。非常にスッキリした飲み口だと改めて実感した」と中田氏に感謝した。