東京国際映画祭が30日、開幕し、東京国際フォーラムでオープニングレッドカーペットとセレモニーが行われた。

コンペティション部門に出品された映画「ちょっと思い出しただけ」(松居大悟監督、22年早春公開)に主演の池松壮亮(31)は、けがでダンサーの道を諦めた照生と彼女でタクシードライバーの葉との、コロナ禍以前からの6年間を描いた映画について「こういう時期に自分の人生、過去、記憶に触れる機会が、世界全体で多かったと思うんですね、時代の変わり目に」と、まずコロナ禍の今について語った。その上で「そういうことについての映画になるように、松居さんとスタッフとも、みんなで自分たちの人生の記憶を持ち寄って、過去にいろいろあったけど、今は大丈夫だという映画になればと思っていました」と、かみしめるように語った。

同じく主演の伊藤沙莉(27)は「コロナ禍ということを、すごく良い意味で忘れた瞬間もありましたし…時間軸が結構、長い期間の話なので」と作品について語った。池松が「6年間の話」と作品の時間軸について説明を加えると「6年前から今にかけて、みんなの生活の仕方も変わったし、そういうところも、いろいろな人間関係にも関わってきているような気がしたので、何か感慨深いなと思いながらやっていました」と撮影を振り返った。

作品の本質について、真面目なコメントを語っていた伊藤だが、レッドカーペットに登場した段階から笑みを浮かべていた。池松の話を聞き、言葉を交わす中で、ツボにはまったのか、クスクスと笑い始め、笑いを止めようと口を押さえるなど、必死の様子だった。