歯に衣(きぬ)着せぬ発言でバラエティー番組の人気者だった、六星占術創始者の占術家・細木数子(ほそき・かずこ)さんが8日に呼吸不全のため東京都内の自宅で亡くなっていたことを10日、所属事務所が発表した。83歳だった。通夜、告別式は近親者、関係者のみで行い、14日に東京・南青山の梅窓院でお別れの会を行う。喪主は娘かおりさん(42)

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細木数子さんが亡くなった。初めて会ったのは、90年2月の衆院選挙の真っ最中、東京・渋谷のハチ公前広場だった。

弟の細木久慶氏が旧東京4区で、当時、アントニオ猪木参院議員率いるスポーツ平和党公認の候補として立候補し、スタッフから紹介された。旧東京4区は渋谷区、中野区、杉並区にまたがっていた。先月の衆院選で落選した石原伸晃氏が初当選。オウム真理教の麻原彰晃教祖も真理党から出馬し、選挙パフォーマンスを繰り広げるなど注目の選挙区だった。

久慶氏は猪木氏目当ての観衆の前で演説した。細木さんは、演説を終えて引き上げてきた弟に「もっと大きな声で、しっかりしなきゃ」と大きな声でダメ出しをしていた。当時20代だった記者がびっくりしていることに気付くと「ごめんなさいね。弟を、久慶をよろしくね」と言って「取材頑張って」とニッコリと笑った。そしてスタッフにハッパを掛けながら、細かい指示を出していた。その後も、選挙期間中に会う度に、しっかりとあいさつをしてくれた。

豪快な人柄と繊細な気配り。その後、バラエティー番組でブレークした細木さんを見る度に、怒った怖い顔とあでやかな笑顔が思い浮かんだ。ご冥福を祈ります。【小谷野俊哉】