コメディアン、ぜんじろう(53)が20日に東京・下北沢の小劇場・楽園で開催される公演「スタンダップコメディGO! Vol.2」(午後6時30分開演)に出演する。他に清水宏(55)、ラサール石井(66)、インコさん(45)が出演する。90年代前半に「平成の明石家さんま」としてブレークした、ぜんじろう。スタンダップコメディーの旗手となるまでの歩みを聞いた。

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16年に設立され、清水が会長、ぜんじろうが副会長を務める「日本スタンダップコメディ協会」の公演第2弾。スタンダップコメディーは主にコメディアン1人で観衆と即興で対話する形式で、英語圏で人気を確立している。ぜんじろうは「協会を立ち上げて、前から公演はやっていたんですが、このタイトルでは8月に次いで2回目。スタンダップコメディーは、まだ日本に根付いてないんですが、はやらせていきたい」と話している。

90年代前半に関西で人気者になり“平成の明石家さんま”として東京に進出も失敗。98年からはアメリカに活動の場所を移してニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴで活動しながら本場のスタンダップコメディーを身につけた。「お笑いっていうのはバカをやるじゃないですか。そして、突っこまれる。スタンダップコメディーはバカはやらない、主張する。『俺、こう思う』って。日本じゃ、理屈っぽいって言われるけど、アメリカじゃ、面白いなとちゃんと聞き入れられた。テーマも社会問題、差別問題、政治、あと日常観察。しゃべるコラム、しゃべるエッセーですよね」と話している。

日本に戻って、06年にはロボット相手に漫才を始めた。まだ、AIという言葉がポピュラーじゃない時代。「全然でしたね。何してんねん! っていう感じでした。ロボットの操作性もいまいちで、ロボット業界からもアウトサイダーでした」と振り返る。

時代を先取りしすぎたチャレンジだった。それでも、前を向いて歩み続ける。「スタンダップコメディーという定義を抱えて、仲間とやっていく。大人の笑いを見に来てください」と話している。【小谷野俊哉】(続く)

◆ぜんじろう 1968年(昭43)1月30日、兵庫県姫路市生まれ。大阪芸大芸術学部デザイン学科中退。87年、上岡龍太郎に入門、吉本興業に所属。88年月亭かなめとの漫才コンビ、かなめ・ぜんじろう結成。同年、今宮子供えびすマンザイ新人コンクールで福笑い大賞。89年(平元)、ABCお笑いグランプリで最優秀新人賞、上方漫才大賞新人奨励賞も、解散してピン芸人に。92年、毎日放送「テレビのツボ」司会でブレーク。95年「超天才・たけしの元気が出るテレビ!!」。98年渡米。01年帰国。170センチ、57キロ。