NHKの太平洋戦争80年・特集ドラマ「倫敦ノ山本五十六」(30日放送、午後10時)に主演する香取慎吾(44)が、このほどオンラインで取材会を行った。丸刈りにし、軍人・山本五十六を演じる意気込みなどを語った。

太平洋戦争から80年の節目に放送する、NHKの極秘文書に基づくドラマ。香取は国の運命を背負い、ロンドンで列強との交渉に臨む山本五十六を演じる。英雄と呼ばれる以前、組織の中で苦悩する新しい“五十六像”を描く作品だ。香取は「1つの国の思いだけではなく、みんなで未来の話をする。そんなシーンがあったんだと勉強になった」。また「意見1つが通ったり、強く押し切ってより良い未来にという思いが強い人もいた。その歯車が合わなかったからこの歴史が刻まれた。『知らない』と言うのではなく、強い思いを持った人が増えれば、悪い未来に進むこと防げるのでは」と作品に込めた思いを話す。

04年放送の主演大河「新選組!」以来、17年ぶりに同局のドラマに出演する。香取は「緊張やプレッシャーはありましたけど、プロフェッショナルなスタッフさんに支えられて、最後のシーンを撮る日まで山本五十六役をやりきることができた」。セットの重厚さや本格的な衣装、ロケの規模に改めて驚いたといい「その場に足を踏み入れるだけで、皆さんが自然と役に連れて行ってくれるような現場でした」と充実感をにじませる。

役のため頭を6ミリの丸刈りにしたが、抵抗は「全くなかったです」とさっぱりした表情。「今後の人生で僕が伸ばす髪は仕事のため。一生このままでいいくらい気に入って、スッキリしてます」と笑う。思い切って外見を変えるなど、役にのめり込みたいという演技への熱が盛り上がっていた中での出演オファーで「びっくりしました。今の自分が思い描いていた中での“トップオブトップ”の役をいただけた」。その後になって不安が込み上げ「ぜひやらせてくださいと言ったけど、役や時代背景を見て、大変な役を引き受けてしまった」と苦笑した。

丸刈りになるのは、今回で2度目という。1度目は「新選組!」の時だったといい、「1年以上かつらをつけるので、髪形はどんなでもいいんだと。(頭の)両方を剃(そ)ってモヒカンにしたら、会社の人にめちゃくちゃ怒られた。それで真ん中の部分も刈って、(脚本の)三谷幸喜さんと会見をしたんです」と、髪にまつわる裏話も明かした。

放送中の大河ドラマ「青天を衝け」には草なぎ剛(47)が出演し、徳川慶喜役で存在感を発揮する。草なぎからのアドバイスについては「もらってないです」と笑いつつ、充実した表情に感じるものもあった様子。「最初のうちは『大変』とか『難しい』とか言っていたのに、中盤から後半にかけては『面白くてしょうがないし、終わるのが寂しい』と言い始めている彼を見て、自分もそうだったなと。大河ドラマは大きなもので、そこをクリアしたものにしか分からないものがある。それを近くにいる草なぎと話せているのがうれしいと思っている中で、この役をいただけた。彼が活躍しているNHKで、『青天』が終わっても僕が登場できるのは、感慨深いものがありました」と語った。