トランプ前米大統領の盟友として知られる共和党のロビイストで政治顧問も務めたロジャー・ストーン氏が、トランプ氏のサインが入った表紙を飾る雑誌のNFT(非代替性トークン)を競売に出品していることが明らかになった。米政治メディアのポリティコなどが伝えている。今年1月6日に起きた米連邦議会議事堂襲撃事件を巡る民事訴訟での弁護費用と妻のがん治療に関する保険適用外の医療費を賄うためのものだという。

出品されたのは1990年代に発行されていた現在は廃刊になっている不動産関係の雑誌で、表紙を飾ったトランプ氏のサインと共に「ロジャー、君は最高だ」とのメッセージも添えられている。1000ドルから入札でき、2万ドルを超えた場合は証明書付きのデジタルデータであるNFTと共に雑誌の現物も譲り渡すとしている。ポリティコによると、ストーン氏は雑誌は本物で1999年にトランプ氏がサインしたものだと思うと述べているというが、この雑誌がいつ発行されたものかは分かっていない。

2000年にトランプ氏が米大統領選に出馬した際に支援したことから政治上の関係が始まり、16年に当選に導いたストーン氏とトランプ氏の関係は、17年にネットフリックスで配信された「困ったときのロジャー・ストーン」というタイトルのドキュメンタリーにもなっている。

ストーン氏は昨年、16年の大統領選でロシアが行ったとされる選挙戦への関与を巡る捜査に関連し、偽証罪で禁錮刑が言い渡されたが、トランプ氏が収監直前に刑を免除し、さらに退任直前に恩赦を与えた。しかし、ストーン氏への法的追及は現在も続いており、1月に起きた米議事堂襲撃事件を巡って支持者らの暴力をあおったとして調査されており、6件の民事訴訟も起こされている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)