当時は「日本人離れしたボディー」と言われ、80年代の映画やグラビアで注目された烏丸せつこ(66)が15日公開の「なん・なんだ」で34年ぶりに映画主演し、インタビューする機会があった。

最近では、言葉を選ぶ慎重な女優さんが多いので、デビュー時そのままの本音の語りは新鮮だった。懐かしさも感じたからだろうか。80年代に「劇中の裸身」を報じるために講じた、今では考えられないような「手法」を思い出した。

スポーツ新聞に堂々とヌード写真が載っていた時代。有名女優さんたちの「初脱ぎ」は芸能面のトップを飾った。記事に合わせるために映画会社が撮影中に撮った「スチール(静止)写真」を配布するのだが、エロスをうたった作品でない限り、そこにお目当てのヌードはない。

そこで、どうするか。試写室に小型カメラを持ち込んでこっそりと「スクリーン撮り」をするのである。スマホ世代はこの言葉に簡易な「スクショ」を連想するだろうが、ファインダーをのぞかずにスクリーンのその一瞬に手作業で画角を合わせるのだから、実はかなり高度なテクニックである。

これをそのまま紙面に載せれば、明らかに著作権や肖像権に抵触するが、そこは宣伝の一環として映画会社や女優さんとのあ・うんの呼吸、暗黙の了解というものがあった。「こちらから配ったわけではないのですが、マスコミの注目度も高くて、撮られちゃいましたね。まあ、これも宣伝ですから」などと、映画会社の宣伝マンは女優さんサイドに申し開きをするのである。

そんなことが積み重なるうちに当時、スクリーン撮りは公然の秘密となり、試写会には映画記者だけでなく、カメラマンも入るようになった。試写室やホールの後方にカメラの三脚が林立する光景も見た覚えもある。

今から思えば何ともバカバカしい行為だが、後々考えた時に、今もきっとかなりバカバカしい行為をしているに違いない、と想像を巡らせてしまうのである。【相原斎】