松竹による「こども歌舞伎スクール寺子屋」の成果披露公演で、女子舞踊コースの生徒で上演される新作「寺子屋乙女かぶき『本朝不思議之國 夢逢姫』」が3月20~21日に上演される。演出と振付を担当する藤間勘十郎、脚本を手掛けた松竹文芸部の戸部和久氏が取材会で、同作にかける思いを語った。

勘十郎は「女性だけで新作歌舞伎を作るのは初めて。女性だけで、『かぶき』という名前を付けて上演することに踏み切ったのは歴史的なことではないか」と話し、松竹、歌舞伎関係者内でも大きな驚きになっているとした。

戸部氏は「女性が歌舞伎の世界で活躍する第1歩になればいいと思いますし、第1歩にするべく作品を作っています」とし「女の子が歌舞伎役者になれないというのは間違っている。『女の子は歌舞伎役者になれない』と言われない20年後があるのかなという思いでやっている」と時期的な展望を示した。

「不思議の国のアリス」を題材にした演目で、生徒達は稽古に励んでいる。勘十郎は「女形にはできない、今の彼女たちの『時の花』が引き出せる作品になっている。子供がやるからといって子供向けには作っていません。歌舞伎座で掛かっても大丈夫なように作っている」と自信を見せる。

男子生徒による中学部門歌舞伎コースの成果披露公演「木挽町わかば座『菅原伝授手習鑑 車引』」は3月26~27日に行われる。いずれも歌舞伎座ギャラリー木挽町ホールで開催されるが、配信も予定されている。【小林千穂】