女優堀田真由(23)が公開中のアニメ映画「ブルーサーマル」(橘正紀監督)で、声優に初挑戦している。考えすぎると混乱するタイプだといい、楽しむことを第一に主人公の声を演じきった。「ブルーサーマル」とは、青空の下で発生する上昇気流のこと。まさに今、“ブルーサーマル級”な活躍を見せている堀田が、このほど日刊スポーツのインタビューに応じた。

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原作は小沢かな氏の同名漫画。上昇気流に乗って空を飛ぶ航空機・グライダーに青春をかける、体育会航空部の大学生たちを描いた。初の声優に「お芝居の現場とはまた違った感覚だったので、難しい部分もすごく多かったんですけど、どちらかというと楽しいの方が大きかったです」。

声を褒めてもらうことが多く、声優への挑戦を決意。作品をイメージした青色の洋服を着て、オーディションで主役の座を勝ち取った。

「このお仕事を始めてから『声がいいですね』って言っていただくことが多くて。その良さを何か生かせたらいいなって思っていた矢先に、ちょうどオーディションのお声掛けをいただきました」

初の声優となったが、監督からの助言もあり楽しむことを最優先した。

「初めてだったので、監督が『分からないことばかりなので、逆に楽しんでやってください』って言ってくださって。役者の方の現場でもそうなんですけど、結構『こうして欲しい、ああして欲しい』って言われると、わからなくなってしまうタイプで…。逆にいったん任せて『楽しんでみて』って言われる方が、自分自身が本当にその役になったつもりで楽しめるなって自分でも思っていたので、初めてのお仕事の場でそう言ってくださったのが本当にうれしかったです」

初のアフレコは新鮮だった。女優業とは違い、台本をもったまま演じる。

「マイクの前での立ち方、台本の持ち方とか本当に初歩的なところから分からなかったので…。普段の役者の現場って台本を持つことがなく、全部頭に入った上で行かなければいけないので、なんか台本を持ってやって良いっていうのも、最初『全部覚えなきゃいけないのかな』って思っていて(笑い)」

アフレコの段階では、全て色がついているわけではない。だからこそ、完成した映画を見た際には、映像美に感動したという。

「収録している時は、絵が手書きというか、ラフな感じでした。先に漫画を読んでいたので、その漫画での状況を思い浮かべながら、声をあててとっていて。でも映画館で見た時にはそれに色が付いていたので、『映画館で見るべき作品だな』ってすごく思いました。真っ暗なハコの中ですごく色がきれいで。映像美っていうところが、より一層暗い映画館ですごくきれいに輝いていて。そこに感動しました」

演じた都留たまきは、テンションが常に高く、堀田とは正反対だという。

「『年齢の割には落ち着いていますね』って言われることが多くて。でも、それはうれしい半面、どこか年相応のキャピッとした感じになりたい自分がいて。それをたまきを通してなれたなって思っています。天真らんまんな女の子というのが自分の憧れでもあって。私はいったん考えたりしてしまうタイプなので、感覚で自分の感情に赴くままに動いている姿がすごくうらやましくて。自分とは違う面もあるからこそ、役を通してすごく楽しめました」

そのテンションが常に高いたまきを、実写で演じることは可能なのか-。

「もしかしたら私の役じゃないかもしれない(笑い)。アニメだからこそなのかもしれないですね。髪の長さも違うし(笑い)。逆に実写でできないからこそ、声優として声で演じられたのは良かったなと思います」

初の声優に挑戦したことで、お芝居に対しての愛も再確認した。

「つらかったとか、もう嫌だなっていうことが全くなくて。お仕事をやっている上でいろいろ悩んだりすることもあるんですけど、多分初めてのことってすごく楽しいじゃないですか。大人になればなるほど、初めての体験って減ってくるなかで、新しいジャンルに挑戦できたのが楽しいって思える瞬間でした。改めて、自分自身がお芝居好きなんだなっていうのを感じられた瞬間でもありました」

今年だけでも、フジテレビ系ドラマ「木のストロー」で主演、そしてNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、小栗旬演じる主人公の正室役で出演するなど活躍の場を広げている。今後について聞くと「常に挑戦し続けたい」という。

「これまでまだ、舞台をやったことがなくてですね。それもまた1つの新しいジャンルであって、いつかはやりたいなって思っている部分です。新しいことを始める、踏み出すことって私もすごく今、怖いですし、『やりたい』って思っているんですけど、実際にそれが目の前に来た時に多分、おじけづくと思います。でもブルーサーマルと一緒で、そこで見える景色っていうのがきっとどこかにあると思うので、まだやったことがないジャンルに挑戦していけたらいいなって思います」。【佐藤勝亮】

◆堀田真由(ほった・まゆ) 1998年4月2日、滋賀県生まれ。14年にオーディションで芸能界入りし、15年女優デビュー。17年NHK連続テレビ小説「わろてんか」で注目を集める。その後も、同局「エール」TBS系「危険なビーナス」など多数出演。ノンノ専属モデルや、「ゼクシィ」第13代目イメージキャラクターとしても活躍。特技はバレエ。身長159センチ。