阿部サダヲ(52)が7日、東京・新宿バルト9で行われた主演映画「死刑にいたる病」(白石和彌監督)公開記念舞台あいさつで、劇中で爪を見過ぎて、自分の左手薬指爪が天海祐希に見えてきたと吐露した。

阿部は劇中で、世間を震撼(しんかん)させた連続殺人事件の犯人で、24件の殺人容疑で逮捕され、うち9件の事件で起訴、死刑判決を受けた榛村大和を演じた。岡田健史(22)が演じた大学生の筧井雅也に「罪は認めるが、最後の事件は冤罪(えんざい)だ。犯人は他にいることを証明して欲しい」という手紙を送る役どころだ。

阿部演じる榛村は、犯罪を犯す中で爪に異常な執着心を見せ、劇中にはそうしたシーンが幾つも出てくる。阿部はタイトルにちなみ、病にいたるほどこだわっていることを聞かれると「爪が顔。」と書いたフリップを掲げた。その上で「(映画を)見てお分かりのように(演じた榛村は)爪が好きなんですよね。撮影が終わると、爪を見るようになって…爪が顔に見えてくる。左手薬指の爪を見ていると…天海祐希さんに言える。見てごらん」と言い、アクリル板越しに岡田に左手薬指の爪を見せた。その上で「ねっ、天海さん」と笑みを浮かべた。

「死刑にいたる病」は、作家・櫛木理宇の同盟小説の実写化作品。理想とは程遠い大学に通い、鬱屈(うっくつ)した日々を送る雅也の元に、ある日、世間を震撼させた連続殺人事件の犯人・榛村から1通の手紙が届く。24件の殺人容疑で逮捕され、うち9件の事件で起訴、死刑判決を受けた榛村は犯行当時、パン店を営み、中学生だった雅也もよく店を訪れていた。手紙に書かれていた「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人は他にいることを証明して欲しい」という榛村の願いを聞き入れた雅也は、事件を独自に調べ始めるが、想像を超えた残酷な真相があった物語。

阿部は、試写で映画を初めて見た印象を聞かれると「面白かったですね。ポップコーン、途中で食べられなくなった人、いるって聞きましたけど」と客席に呼び掛けた。榛村の役作りについては「パン屋さんにいる時は普通なので、普通に演じました。普通って、何ですかね…。晴れときどき殺人みたいな…そんな感じです」と、凄惨(せいさん)なシーンも少なくない作品と役どころを、独特の言い回しで評した。