女優田中道子(32)が、初舞台で初主演に挑戦することが23日、分かった。東京・池袋のシアターグリーン BIG TREE THEATERで上演する舞台「赤羽焼肉劇場」(9月7~11日)で、コロナ禍に立ち向かう焼き肉店の看板娘を演じる。大役を引き受け「終わった時に『何段も成長できたな』と思えたら」と意気込んでいる。

赤羽に実在する焼き肉店を舞台にした物語で、田中は店主の兄を支える高倉マチコとして登場する。店はコロナ禍による経営難に直面し、酒の提供をめぐる誹謗(ひぼう)中傷を浴びることになるが、マチコは兄が懸命に築いた焼き肉店を守るために奮闘する。人のあり方を描く社会派エンターテインメント作品だ。

朗読劇の経験はあるが、舞台での本格的は演技は初めて。観客を前にした生の芝居に田中は「正直怖いです。2時間ぶっ通しで人前に立たないといけないのが初めてなので。今は本当に、ド緊張です」と心境を明かす。

お酒が好きで、酒場での「とりあえず生」が定番だったが、その生活はコロナ禍で一変。多くの飲食店が廃業したことに胸を痛める。撮影現場で感染を広げることはできないとの気持ちで、自身もお気に入りのラーメン店を訪れることが出来ず「自分も葛藤してお店に行けなかった側なので、申し訳なかった。今回は逆の立場を演じるので、見えてくるものがあると思う。お店から足が遠のいてしまった人なのか、飲食店の皆さんなのか、誰かに訴えかけるような舞台になれば」と話す。

焼き肉店の店員として、明るく切り盛りする。地元浜松でアルバイトをしていたイタリアンレストランは制服だったが、今作ではTシャツに酒屋の前掛けとラフなスタイルを披露。田中は「普段はこんな感じです。前掛けはしないですけど(笑い)」と、飾らない性格は看板娘にぴったりだ。演出家とディスカッションしながら役作りを進めており、「もめ事が苦手」という性格の田中が唯一激怒したエピソードを話すと「『それ面白いね』と。もしかしたら反映されるかもしれません」と笑った。

27歳で女優デビューした遅咲きで「芸歴で後輩の方に本当に会わないんです。いつまでたっても新米の気分と言いますか…」。初主演の抜てきに驚きつつも、自分を奮い立たせる。「主演をやると3年分、5年分の下積みと同じだけ成長すると、よく聞きます。共演者さんを引っ張っていかなきゃいけない、新米だって言っていられない状況に追い込むからには、終わった時には『何段も成長できたな』って思えるようになりたいです」。

 

◆田中道子(たなか・みちこ)1989年(平元)8月24日、静岡生まれ。13年ミス・ワールド日本代表。16年テレビ朝日系「ドクターX~外科医・大門未知子~」で女優デビュー。ドラマは日本テレビ系「極主夫道」などに出演。水彩画が得意で、19年二科展絵画部門で初入選。TBS系「プレバト!!」でも腕前を披露する。2級建築士。身長172センチ、血液型0。