幼児向けの米人気教育番組「セサミストリート」をテーマにした米ペンシルベニア州にある遊園地「セサミプレイス」で、着ぐるみのキャラクターによる人種差別的な言動を映した動画が拡散されて世間の注目を集める中、「無視された」と主張する黒人家族らが27日に親会社のシーワールドに対して2500万ドルを求める集団訴訟を起こしたことが明らかになった。

米ロサンゼルス・タイムズ紙などによると、白人と触れ合った直後に腕を伸ばす黒人少女を無視するキャラクターを撮影した動画が投稿されてから2週間以内に、その動画の家族とは別のバルチモア在住のバーンズ家が「自分たち家族や全ての黒人ゲストを拒否した」と主張し、連邦政府によって保護された平等に楽しむ権利を侵害されたとして損害賠償を求める訴えを起こしたという。

動画が拡散されて以降、他の黒人家族も同様の被害に遭ったとSNSに相次いで投稿しており、人種差別が常習化している可能性が取り沙汰されていた。「セサミプレイスでエルモやアーニーら人気キャラクターに扮(ふん)したパフォーマーによる子供に対する人種差別がまん延していることにぞっとする」と原告側は述べており、ブラック・アメリカに対する「無条件の謝罪」や従業員に対する文化的な相違を尊重する教育の実施なども求めている。

黒人少女2人を人気キャラクターのロジータが拒否するように手を振って通り過ぎる様子を撮影した動画が最初に拡散された後、セサミプレイスは謝罪声明を発表したものの「衣装のせいで低い位置が見えにくいことがある」と述べ、意図的ではないと弁明したことでさらなる批判を浴びていた。バーンズ家の弁護士は、一家の娘ケネディちゃんが2度にわたって異なるキャラクターから無視される様子を撮影した新たな動画も公開している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)