来年6月退団を発表した宝塚歌劇団の宙組トップ真風涼帆が29日、大阪市内で退団会見を開き、銀のラメ入りスーツに白いシャツで登場。17年11月のトップ就任後、退団は「トップはいつか終わりがあるもの。つねに時期は意識し、劇団とも相談しておりました」と言い、「2022年を目標に歩んできた」と語った。

2022年に特別な思い入れがあったわけではなく、退団を決意した具体的な作品なども「とくになかった」と言うが、トップ就任した際の覚悟として、ゴールを想定してきた。

ただし、コロナ禍で大幅にスケジュール変更があったことから、劇団と相談を重ね、来年6月の退団へ「この時期に決心いたしました」とも明かした。

175センチの長身で、ノーブルな宝塚らしい男役として、星組時代の下級生当時から注目を集めてきた。この日の銀ラメスーツには「金びょうぶに負けない衣装をと思って」と笑い、会見でも王道男役としての気品があふれていた。

06年の入団から17年、新人時代から抜てきが続き、新人公演は5回主演。星組から宙組へ移ってトップに就き、今年11月に丸5年を迎える。故郷の大先輩で劇団理事も経験した轟悠、星組時代長らく背を見てきた柚希礼音ら、退団した先輩の姿も思い「男役とは終わりなき道なんだなと、今あらためて思います」。

抜てきが続いたゆえの苦しみもあった。

「長い宝塚人生、途中で立ち止まって逃げ出したくなることもあった。でも、立ち向かおうと思えたのは、応援してくださるみなさまがついてきてくださったから。(ファンや仲間に)何度も救われ、導いていただき、感謝の思いでいっぱいです」

支えになった言葉は「今を生きる」をあげ、その理由は「どなたからの言葉かは、私の宝物なので」と明かさなかったが、多くの支えに報いるための男役道でもあった。

現役5組トップで最長キャリア、本拠地9作での退団は、近年では柚希礼音(元星組トップ)の11作、明日海りお(元花組トップ)の10作に次ぐ。これにも「私の宝塚人生での宝物だなと思います」と感謝した。

転機、思い出の作品には「つねにお役に真摯(しんし)に立ち向かっていますので、ひとつをあげられない。今ならばコブラを全身全霊で演じていますので、コブラです」。9月26日に宝塚公演を終えた「HiGH&LOW-THE PREQUEL-」「Capricciosa!!」で演じている役柄をあげた。

男役17年には「今、終わりを振り返ることができない-と言いますか、まだまだ最後の日まで突き進んでいきたいなという思いでいっぱいです」と、終わりなき道を進む覚悟も示す。

宙組メンバーには9月26日に宝塚千秋楽を迎えた宙組公演中に伝えたといい、「真剣な表情で受け止めてくれた。皆の姿、表情、熱くなる思いでいっぱい。涙する姿にいとおしさを感じました」などと話した。

真風は来年1月9~19日、東京国際フォーラムでリサイタル「MAKAZE IZM」を開催。同3月に兵庫・宝塚大劇場で開幕する「カジノ・ロワイヤル~我が名はボンド~」が退団公演となり、同6月の同東京宝塚劇場千秋楽をもって退く。