11月から芸能記者になりました。高橋洋平と申します。よろしくお願いします。

この1カ月弱の取材活動で印象に残ったのは、元NMB48の高野祐衣さん(28)だった。高野さんはNMB48を15年に卒業後、日本酒好きが高じて18年には利き酒師、20年には酒ディプロマ(ソムリエ)の資格を取得。今年7月には、東京・西浅草に日本酒専門店の酒屋「ゆい酒店」をオープンした。現在は代表取締役を務めながら、実際に店舗に立って接客している。「握手会に行けば会えるアイドル」から「お店に行けば会える経営者」に華麗なる転身を果たした。

そんな高野さんのある言葉が心に刺さった。アイドル卒業後を回想している時に出た言葉だ。

「タレント活動をしていましたけど、なかなか思うようにいかなくて。NMBを卒業したら、すごいキラキラした活動ができると思って卒業したものの、なかなか難しくて」

苦境に立たされた高野さんを救ったのは、アイドル活動中に趣味となっていた日本酒だった。「日本酒に興味を持ったのはタレント活動中に新潟県に行って。お気に入りの日本酒を見つけたり。日本人として和食が好きだから、飲まないといけないなと思って」と当時を振り返る。そして前向きに語った。

「私はラッキーなことに日本酒に出会えて、1本に振り切っちゃった。日本酒に携わる仕事がしたいと思った中で『ゆい酒店』という店舗を持てた」

高野さんはアイドル卒業後、「日本酒」をキーワードに「セカンドキャリア」にたどり着くことができた。夢が広がる。「別に酒屋さんになりかったわけではない。日本酒に携わりたかった。将来は飲食店もやりたい」。引退したプロスポーツ選手や、一線を退いたアイドルが果たして、どれだけの割合で自分の思い描いたセカンドキャリアにたどり着けるのだろうか。高野さんを取材してて、そう思った。高野さんの輝かしい未来を「ゆい酒店」で日本酒を飲みながら、引き続き取材したい。【高橋洋平】