宝塚歌劇の星組「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」新人公演が29日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、新人学年最終、7年目の天飛華音(あまと・かのん)が、3度目の新人公演主演を務めた。

「(3度目で)落ち着いて、務めることができたかなと思います」と笑い、最後となった新人公演にかける思いには「大劇場で最後ということで、お客さま、この空間を楽しみながら演じようと思っていました」と振り返った。

16年入団の102期生は、歌、ダンス、芝居と安定した技量を発揮。13世紀のジョージア(旧グルジア)を舞台にした並木陽氏の小説「斜陽の国のルスダン」をもとにしたミュージカルにのぞみ、超人的ステップ、跳躍のジョージアン・ダンスも披露した。

本役は、歌、ダンス、芝居すべてに高いレベルでそろうトップ礼真琴。礼からは、「命をかけて、頑張れ」との言葉をもらい、臨んでいたという。公演中に衣装を着替える“早替わり室”に、その言葉がはられており「着替えるたび、目に入り勇気づけられました」と感謝した。

物語は、人質として送られたルーム・セルジュークの王子ディミトリを主人公に描き、運命に翻弄(ほんろう)されながらも、後にジョージア女王となるルスダンへのいちずな愛を貫く様を描く。

天飛は「上級生の背を見て、私も愛する宝塚の舞台、お客さまへ、いちずな愛を届けようと思いました」と言い、自身も役柄に「命をかけて」迎えた本番だった。

ただ「演じながら、課題も感じていました」とも吐露。「東京(宝塚劇場での新人公演)では、もっとディミトリとして生きられるよう、頑張ります」と誓った。

ディミトリが愛をささげる女王ルスダンには、2年目の藍羽(あいは)ひよりが抜てき。コロナ禍入団の107期生は「不安と焦り、さまざまな思いがかけめぐりましたが、皆さまに支えられ、今日、舞台に立てました。1人では今日ここにいられませんでした」。

本役のトップ娘役、舞空瞳からは「今日はドキドキするけど、頑張って」とのメッセージをもらい、メーク席に掲示。「メークをするたびに、『今日はルスダンになろう』って…。舞空さんのおかげです」と話した。

また、本公演では人気スター瀬央ゆりあが演じる亡国ホラズムの帝王役に大希颯、同じく本公演で暁千星がふんするジョージア国の副宰相は稀惺(きしょう)かずと。105期生コンビが抜てきされた。

東京宝塚劇場では来年1月19日に上演される。