第35回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、株式会社石原音楽出版社協賛)で、新人賞を受賞した女優・河合優実(22)が、発表から一夜明けた28日、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(月~金曜午後1時)に生出演した。河合は番組の中で、水谷加奈アナウンサーと、いとうあさこ(52)から、山口百恵さんに似ていると言われると「よく言われます。大人の方に。親世代から(似ていると)よく聞いていた。好きだったので…そんな大スターに」などと照れた。

日刊スポーツ映画大賞の受賞対象作は「PLAN 75」(早川千絵監督)「冬薔薇(そうび)」(阪本順治監督)「ある男」「女子高生に殺されたい」(城定秀夫監督)の4作だが、今年1年で8本の出演作が公開されている。河合は、いとうから「お写真が今日(日刊スポーツの紙面に)出ているんですけど全部、お顔が違う。(映画の)撮っている時期は?」と問いかけられると「結構、違いますね」と答えた。さらに、いとうから「頭、ちっちゃいね。握りこぶしくらいじゃない?」と突っ込まれると「そんなこと、ないです」と笑った。

番組恒例となった、いとうによる賞状の読み上げが終わった後、出演作に関するトークに進むと、いとうと水谷アナが鑑賞し、作品テーマにも関心が高い「PLAN 75」に話題が集中した。河合は同作で、日刊スポーツ映画大賞で主演女優賞を受賞した倍賞千恵子(81)演じる角谷ミチが、高齢を理由に仕事を解雇され、満75歳から生死の選択権を与える「プラン75」申請を検討した際、応対したコールセンターの成宮瑶子を演じた。

河合は、いとうから「優実さんの瞳が、映画では珍しいカメラ目線…ウワッと、こっちを見て終わる。最初のコールセンターの、明るい言い方がゾッとした。(生死の選択権を与える)制度を仕事としてやっていることだもんね」と質問されると「監督とも話しました」と、早川千絵監督と役作りについて話し合ったと説明。「非正規で何に加担しているか分かっていないまま、仕事として淡々とやっている子かな? と思いました」と役への第一印象を語った。その上で「声だけで出演するシーンは『もっと、営業的に笑顔の声』と、監督からかなり直されましたね。でも、私…コールセンターでバイトしたことがあって、そのスキルが…まさかですけど」と、コールセンターで実際に働いた経験が役作りに生きたと明かした。

出演シーンも撮影時間も、それほど多くなかった上、演じた成宮が「プラン75」というシステムに次第に、強い疑問を抱くようになっていく役どころだけに難しさもあったという。そこを乗り越えられたのは、倍賞の声だったと明かした。

河合 出演シーンが、あまりない分、どういう坂の角度で(役に)変化を付けていくか、難しいんですけど…倍賞さんに影響された。声が大事になってくる役なので、倍賞さんの声に、いざなわれて。本(台本)読みで、電話のやりとりをさせていただいただけで、何か感動する…心が動くんですよね。

いとうからは「今後も、こんな制度はあっちゃ、いけないけど、SFだけどリアル…どうですか? 22歳から見て年を取るとか、死とか、どう考えてます?」との質問も出た。河合は「まだ漠然としていますけど、このテーマを見た時、あっちゃいけないなという前提で捉えていたと」と当時の思いを明かした。その上で「(物語には)親に説明するのも、はばかられるリアルさがあった。そういう意味でも、私としては、ちゃんと生きることに希望を持っていたいなと思いますね」と前向きに向き合ったと明かした。

いとうから「苦しかった…この映画がリアルで。この若さで、この世界に入っていくのは、すごい。まだリアルじゃないけど、周りの大人を想像すると、苦しいですよね」との質問も出た。水谷アナも「若い人に見て欲しい映画」と続いた。河合は「(劇中で)この制度を回すのは若い人じゃないですか? でも、お客さんの年齢層は高いみたいで。立場的には倍賞さんが主役。私や磯村(勇斗)さんは、等身大の目線で参加できれば良いかなと思いましたね」と語った。

河合は「こういう女優になりたいというものは?」などと聞かれると「あまり、決めないようにしています」と語った。その上で「皆さん、どんどん、これからも映画を見てください」と、リスナーにメッセージを送った。