日本テレビ系「笑点」(日曜午後5時30分)の新メンバーに春風亭一之輔(45)が就任した。5日放送の番組内で発表された。長年レギュラーを務めていた6代目三遊亭円楽さんが昨年9月に72歳で亡くなった空席を埋める形で、同年に加わった桂宮治に続く2年連続での加入。“最もチケットが取りにくい落語家”とも称される人気者は、初回収録時から円楽さんを思わせる毒舌キャラを随所に披露し、大きな笑いを誘った。

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一之輔は司会の春風亭昇太に呼び込まれる形で登場し、客席から大きな拍手と歓声を浴びた。頭を下げて座布団に座り「よろしくお願いします」とあいさつ。約1年ぶりに全ての座布団が正メンバーで埋まった。

同局や所属事務所を通じたコメントでは驚きも口にしつつ「程よく、力を抜いて頑張ってゆきたい。のんびりしたゆる-い時間を味わっていただければ」とつづった。落語家が多数出演する唯一の地上波番組であることにも触れ「その番組のレギュラーに選んでいただいた意味を踏まえつつ、私を知ってくださった方が落語会や寄席を見に行きたいという気持ちになってくれれば」と意気込んだ。

メンバー選定をめぐっては厳しい情報統制がとられ、初回収録を行ったのは放送前日の4日。約45年間にわたってレギュラーだった6代目三遊亭円楽さんが昨年1月に脳梗塞で入院して出演を一時休止後は、同2月から9月まで代役が週替わりで出演し、一之輔もその1人だった。日テレは円楽さん復帰を第一に考えていたが昨年9月30日に72歳で亡くなり、後継者選定に着手。同局の福田博之常務は昨年10月の会見で「いろいろな観点から次の方を選び、お願いをしたい」と語っていた。

昨年加わった桂宮治よりも若い最年少の45歳。12年に単独21人抜きで真打に昇進し、年間約900席もの高座をこなす人気者だ。7人中60代以上が5人を占めていたメンバー平均年齢もグッと下がった。円楽さんをほうふつとさせる毒舌ぶりを見せる場面もあり、今回の就任について「子どもにも黙っていて、今日も『お父さんは老人ホームで落語をやるよ』とうそをついて来ましたけど、あながち間違いではなかった」と周囲を見渡しながら語って笑いを誘う場面も。偉大な先輩のエッセンスも受け継ぎながら、新生「笑点」の歴史が始まった。【松尾幸之介】

◆春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)1978年(昭53)1月28日、千葉県野田市生まれ。日大芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門、前座名は朝左久。04年に二つ目に昇進し、一之輔に改名。12年真打ち昇進。NHK新人演芸大賞、文化庁芸術祭新人賞、国立演芸場花形演芸大賞など。