歌舞伎俳優市川男女蔵(55)中村児太郎(29)が8日、都内で、「七月大歌舞伎」(7月3~28日、東京・歌舞伎座)で上演する「神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)」の取材会を行った。

2人とも初役に挑む。男女蔵が演じる頓兵衛は、4月に亡くなった父市川左團次さんが何度も勤めた役。男女蔵は「この役だけでなく、おやじさんは『小細工するな』と。それに尽きます。おやじさんの頓兵衛が一番好きですが、こだわりすぎず自分の頓兵衛をつくっていけたら」と話した。

児太郎も、父中村福助が何度も務めたお舟を演じる。扮装(ふんそう)姿の特別ポスター撮影時には福助も立ち会い、さまざまなアドバイスをしてくれたという。児太郎は「父が大事にしていたものを少しでも再現できれば」とした。

江戸時代の蘭学者、発明家平賀源内が、福内鬼外という筆名で書いた作品。愛する人を命をかけて守ろうとする娘と、極悪非道な父を描いた。