日刊スポーツ本紙4日付「日曜日のヒーロー」のために関根勤さん(70)をインタビューした。
中学生の時に見ていた、せんだみつおさん(76)司会の夕方の帯バラエティー「銀座NOW!」の「しろうとコメディアン道場」の初代チャンピオンに、今から50年前に輝いた。
記者も、まだ中学1年生でマージャンも覚えていなかったし、所属していた硬式テニス部は先輩たちが焼き肉屋で飲酒をした挙げ句にけんかで半年の活動停止。毎日、真っすぐに帰って、夕方の「銀座NOW!」を見ていた。
「しろうとコメディアン道場」からは、清水アキラ、桜金造、アゴ勇、鈴木寿永吉らのハンダーズ、小堺一機、竹中直人、とんねるずら、後の芸能界のスターが輩出された。
気が付けば関根さんを50年も見ていた。話を聞いて感じたのは、笑顔が若い頃と変わらない。人間、長く生きていると人生の澱(おり)というものが染み付いてしまうのだが、それも笑いで浄化してしまったのだろう。フリートークでしゃべるだけでなく、こちらの質問にひとつ、ひとつ丁寧に答えてくれた。
そこで、じっくり聞いたのが娘の関根麻里さん(39)のことだ。昔、よく聞いたのが、お尻を出して「クレヨンしんちゃん」のまねをして子育てをしたというエピソード。今は麻里さんが産んだ、8歳と4歳の孫娘を相手に遊んでいるという。
「今、孫に同じことやってますよね。とにかく人生楽しむんだってことをすり込んでみようと思ってね。もうね、ゲラゲラ笑わしてますね」と話してくれた。
麻里さんが生まれる前には育児の本を8冊ぐらい読んだという。
「麻里が勉強が面白くない、つらいって言った時にも怒らなかった。僕は麻里が、どんな点数取ってきても、例えば0点でも言うつもりはなかったんですよ。自分もひどい点をとってきたことあるから。ただし、どうしてそうなっちゃったかっていうのは、話し合おうと思ったんですよね。それで麻里は途中で授業がつまらないと言い出したんですよ。だから、ここだと思って『本当につまんないよな』と。あれって面白くもなんともないよって言って、それで説明したんですよ。お父さんもそうだったんだよ。全然面白くないからさ、全然勉強しなかったんだよと」と、娘の言うことを肯定した。
そして「ところがさ。社会に出るとさ、自分がやりたいことをやるには、脳にはいろんな部位があって、数学的な思考、文学的な思考、歴史を知っている深みとかね。全部、将来、麻里がやりたいことをする時に鍛えられた脳がそれをフォローしてくれるんだ。腹筋やったりスクワットやったり、競技と関係ないようだけどそれをやることによってパフォーマンスが上がるのと同じで、お父さんはそれを教えてくれる人がいなかったんだ、と。だから、ただサボって社会に出てから大変だった。やり直したんだよ、と」
関根さんの言葉を聞いた麻里さんは、素直に受け入れて勉強をした。米国のエマーソン大学マーケティングコミュニケーション学部に留学して、首席で卒業。英語がペラペラなのもよく知られている。
「授業は退屈だけど、その我慢をね。今はそれの勉強だと思ってやってくれって言ったんですよ。これはエリートのお父さんだと、説明できないんですよ。スーッとできちゃうからね。なんで、できないんだって言っちゃう。僕はね、雑草でよかったなと思いました」と振り返る。
いじめについても、真剣に向き合った。
「世の中でいじめられている子が、両親に相談できないで一人で悩んじゃって、学校行けなくなったり、精神が壊れちゃうことがある。お父さんはね、麻里のためなら死ねるんだ。例えばだよ、『あなたが心臓がよくなくて、お父さんの心臓を移植しなきゃいけない』と。お医者さんが『お父さんの心臓を移植すれば麻里さん助かりますよ。お父さんはもう生きていけませんよ。どうしますか』って、『どうしますか』の『か』まで聞かないで、『お願いします』、と(言える)。俺は死ねるんだと、君のためにそのくらいの気持ちで生きてるんだと。だから、もしいじめられたり学校の先生とうまくいかないとかあったら、なんでもいいから相談してくれと。とお父さんとお母さん、お母さんも君のためなら死ねるというつもりで生きている。君だけで悩まなくて、お父さんお母さんの方が豊富な人生経験があるから、解決策もいろいろと浮かぶから、ぜひ相談してくれと頼むって言ったんですよ」。父親でありながら、真剣に勉強して娘の性教育にも向き合った。
麻里さんとの思い出を語る時には「やっぱり小さい時の思い出は、笑っていることが多かったと言いますね。笑いはね、本当にこう…いや、笑いっていいんですよ。健康の源ですからね。リセットできるんですよね、負の感情を。笑うことによって、免疫力が上がるっていう実験結果もあるんですよ」と話してくれた。
関根さんのことを50年見続けてきて、直接話を聞けて、笑顔も見られた。
還暦過ぎの記者の免疫もアップして、元気になった。【小谷野俊哉】



