5人組アイドルグループ#ババババンビが14日、初の東京・日本武道館公演を開催した。20年のデビュー当時から公言してきた夢のステージで、ところ狭しと躍動した。アンコールではメンバーたちが感極まって涙する場面もあった。

取材中、ふと10年前の光景が思い浮かんだ。14年5月、同じ日本武道館のステージに初めて立った、でんぱ組.incのライブだ。あの時も、念願のステージを迎えたメンバーたちは感慨深げだった。生き生きとパフォーマンスする表情が輝いていた。

職業柄、しばしば人が夢をかなえる瞬間に立ち会う。アイドルだけでなく、俳優やモデル、お笑いタレントなど…。時と場合によるが、総じて夢をかなえる人々はキラキラと輝いている。ややオカルトチックだが、持っているそもそもの魅力に加えて、「夢」という要素が乗っかっていることでより人間を輝かせるのだろう。

テーマをアイドルグループに戻すと、日本武道館をはじめ、大きなライブ会場は非常にわかりやすい「夢」だ。AKB48が結成から夢として掲げた東京ドーム公演に初めてたどり着いたのは12年。最近だと日向坂46が22年3月、改名前のけやき坂46(ひらがなけやき)時代から目標としてきた東京ドームコンサートを、2度の延期を経てかなえた。

アイドルグループにとって、ファンと共有できる目標は分かりやすい推進力になる。夢をかなえるためにメンバーは努力し、ファンは応援する。モチベーションを維持する秘訣(ひけつ)でもある。モーニング娘。やAKB48、そして乃木坂46と、トップアイドルグループに至るまでにはいくつもの「夢をかなえる瞬間」があった。そのたびにメンバーは輝き、ファンは歓喜し、好循環が出来上がっていったのだろう。

一方で、当然ながら全ての夢が平等にかなうわけではない。日本武道館や東京ドームを目標に掲げ公言し、結果的に夢破れたグループもあった。むやみやたらに大言壮語を吐けばいい、というわけではない。実力や努力や実績があった上でさまざまなタイミングが合致して、初めて夢はかなう。

#ババババンビは初の日本武道館ライブを終えた。アンコールで小鳥遊るいは「夢かなえちゃったから、新しい夢、作らなアカンで!」と呼びかけた。岸みゆは「みんなとなら、どこへでも行けそうな気がする!」と笑った。開演前には格闘家でタレントの角田信朗から「次は横浜アリーナ、そしてさいたまスーパーアリーナ、最後は東京ドームだ!」と背中を押されていた。これからもいくつもの夢を追いかけ、ファンと共にかなえていくのだろう。【横山慧】