大泉洋(50)が26日、アニメ映画「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」(永岡智佳監督)の舞台・函館市で行われた公開前イベントで“ホームグラウンド”北海道を沸かせた。

4月12日の公開初日以降、北海道では函館市を中心に9月30日までの大規模プロモーションが決定。アジア各国から既に問い合わせもあり、インバウンド(訪日客)の期待が大きい一方、大泉は国内で絶大な人気を持つ。その完全タッグに、市の関係者は経済効果の試算は「不能」と期待を寄せた。【村上幸将】

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大泉と江戸川コナン、怪盗キッド役の声優山口勝平は、劇中でコナンらが躍動する五稜郭、金森赤レンガ倉庫街、函館山を巡った。コナンが動けば外国人観光客がカメラを向け、大泉が手を振れば日本のファンから「大泉さん」と歓声が上がるなど、函館は沸いた。

今回の映画は、22年に始動し、函館市は市内のロケハン、実景の撮影など舞台となった街を正確に描く製作サイドに全面協力した。さらに同市役所、函館商工会議所、函館国際観光コンベンション協会とJR北海道の4者で昨年12月に実行委員会を結成。市内10カ所でのスタンプラリーや函館市電・函館バスのラッピング、主演の声優高山みなみの車内アナウンスなどの施策を企画し、公開初日から5カ月にわたって展開。JR北海道も同じ日程で全道の駅や普通列車にポスターや広告を掲出する。

市の関係者は「1つの作品、しかもこれほど超有名な作品と、ここまでタイアップするのは初。ファンの熱意が計り知れない」と期待した。函館空港は台湾との直行便が運航しているが、職員がプロモーションで海外、特にアジア圏に行くと「コナン、函館でやるんでしょ。楽しみにしています」と既に声をかけられているという。コロナ禍以降、国内の観光もダメージを受けたが、国内での大泉の人気は公開前イベントで改めて証明された。同関係者は「海外まで視野に入れなければ…経済効果の試算は行き着かない」と作品の絶大な影響力に驚いた。

昨年4月に就任した大泉の実兄・大泉潤市長(58)は、2月の第1回市議会定例会で発表した市政執行方針で、経済・観光の再生を目標の1つに掲げた。その起爆剤としての期待は、函館市から北海道に広がっている。大泉は「コナンが歩いた場所を歩くのが、とても楽しかった。公開されたら熱烈なファンが聖地巡礼をやると思う。北海道に観光客が来て欲しいという思いがある」と期待を寄せた。

○…大泉は函館の思い出を聞かれると「父が教師として赴任して幼少期に来て、旅行をして初めて楽しいと思った」と感慨深げに語った。西の名探偵・服部平次(声=堀川りょう)と遠山和葉(声=宮村優子)との恋の行方も映画の見どころだが「函館山の夜景はデートには最高。イチャイチャしますよ、若い頃は。デートに来たり。100万ドルの夜景…甘酸っぱいなぁ」と目を輝かせた。劇中では北海道警の刑事・川添善久を演じた。「『コナン君、逮捕する』と涙ながらに逮捕するシーン、なかったな」とジョークを飛ばした。