俳優椎名桔平(59)が28日、インスタグラムを更新。14日に肺がんのため亡くなった俳優寺田農(てらだ・みのり)さんの付き人をしていた当時の写真を公開し、追悼した。

椎名は「役者を目指して間もない頃、二十歳過ぎから二年ほど付き人をやらせて頂きました」と、寺田さんとともに酒の席に座った若かりし日のツーショットをアップ。「『師匠なんて呼ばないでくれ、普通でいいからな』と言われ、主催されていたサッカーチーム、『インポッシブルドリーム』にも参加させてもらいました」と振り返った。

「『付き人は二年以上やる時代じゃないから、後は一人で頑張りなさい。』と言って、沢木耕太郎や関川夏央の本をくださいました。『俺はもう要らないから』と、シェイクスピアやジロドゥやカミユ他の沢山の戯曲全集も頂きました」と回想。「『お前が将来銀座に飲みに行けるようになって、その店が満席になったら次のお客の為にサッとお会計するんだよ。』と僕は無名でお金の無い時代でしたが飲み方も教えてくれました」と、寺田さんの人柄のわかるエピソードをつづった。

独り立ちしてから何度か作品で共演する機会があり、「最後は一昨年の京都でした。同じシーンではなかったのですが、セットにいらして僕の芝居を見てくれてましたね。ありがたかったです。本当に、ありがとうございました」と感謝。「いつも自由と粋を大切にされて、何事にも造詣が深い人でした」としのび、「感謝と共に、心よりご冥福をお祈りいたします 寺田農さまへ」と結んだ。

寺田さんは文学座付属演劇研究所に第1期生として入所。68年、岡本喜八監督の映画「肉弾」では毎日映画コンクール男優主演賞を受賞した。テレビ、映画、舞台で幅広く活躍し、悪役、重鎮といった、作品に重しと深みを与える役柄も多かった。また、声優、ナレーターとしても活躍していた。スタジオジブリのアニメ映画「天空の城ラピュタ」では、ムスカ大佐を演じ、数々の名せりふが人気になった。81歳だった。