阪急阪神ホールディングス(HD)の嶋田泰夫代表取締役社長は28日、大阪府内で、団員急死にともなう遺族側との合意を発表し、席上で、ハラスメントを認める方針転換への経緯を語った。

嶋田社長は「重大な結果になり、痛切に反省しております」とし、当初は否定していたハラスメント行為と、遺族側が15件提示して項目などを精査するうちに「気づきがあった」と語った。

<パワーハラスメントに該当する行為>

(1)2021年8月14日、宙組上級生が、被災者が自分でやることを望んでいたにもかかわらずヘアアイロンで被災者の髪を巻こうとして、被災者の額に1カ月を超えて痕が残るほどのやけどを負わせたこと、及び、それにもかかわらず、当該宙組上級生は、真に被災者の気持ちをくんだ気遣い、謝罪を行わなかったこと

(2)2021年7月20日の新人公演の直前の2日連続深夜に、宙組上級生の指示により、被災者が髪飾りの作り直しの作業を行うこととなったこと

(3)2021年8月ごろ、宙組上級生が被災者に対し、新人公演のダメ出しで人格否定のような言葉を浴びせたこと。ならびに、宙組プロデューサー(当時)がこれを認識しながら放置し、対処をしなかったこと

(4)2023年2月3日、宙組幹部4名が被災者を会議室に呼び出したこと、ならびに、その後宙組生全員の集まりを開いたことにより、被災者が過呼吸の状態になるほど大きな精神的負担が生じたこと

(5)宙組プロデューサーが前(4)項の会議室を確保し、被災者が精神的負担を受ける場を設定したこと、ならびに、被災者が組替えを求めたことに対しこれを無視したこと

(6)2023年2月1日、劇団が、(1)の事件につき、「全く事実無根」との見解をホームページ上で発表したこと

(7)劇団が、被災者に対し、死亡前直近1カ月間において、過大な業務量を課し、長時間業務を行わせたこと

(8)本件新人公演(※23年10月19日に上演される予定の公演)に向けた準備において、「振り写し」(※本公演の俳優に振りを教えてもらうこと)が必須ではなく、また本件新人公演の演出担当者が「振り写し」を行う必要はないと言っていたにもかかわらず、宙組幹部が、被災者に対して、「振り写し」を行うべきであると指導し、その結果、被災者に一層の過重な業務が課せられたこと

(9)本件新人公演に向けた準備において、「お声がけ」(※上級生に指導を仰ぐこと)を行うことは必須ではなく、被災者を含む下級生に負担が生じる状況であったにもかかわらず、宙組幹部が「お声がけ」を行う必要はないと宙組生に指導せず、その結果、被災者に一層の過重な業務が課せられたこと

(10)本件新人公演に向けた準備において、演出担当者の怠慢により、被災者が同人の業務を肩代わりせざるを得なかったこと

(11)2023年9月2日、本件新人公演の配役表に関して、宙組幹部が、午後10時以降の深夜帯に被災者を指導、叱責(しっせき)し、これにより被災者が午後11時50分になっても帰宅できない状況になったこと

(12)2023年9月下旬、宙組幹部が、被災者に落ち度がないにもかかわらず、「振り写し」に関し、被災者を指導、叱責したこと

(13)2023年9月27日、下級生による衣装の取り扱いに関する衣装部門からの苦情に関し、被災者に落ち度がないにもかかわらず、宙組上級生が被災者に対し、下級生の失敗は被災者の責任であるとして指導、叱責したこと

(14)2023年9月28日または同月29日、宙組上級生Aが、被災者に落ち度がないにもかかわらず、「お声がけ」に関し、被災者を大きな声で指導、叱責したこと。その後、宙組上級生Aが、別の宙組上級生Bを呼び出し、被災者について指導したうえで、宙組上級生Bが、他にも宙組上級生がいる中で、被災者にうそをついているかと繰り返し詰問したこと

 

◆主な相談窓口

・いのちの電話

ナビダイヤル=0570・783・556(午前10時~午後10時)

フリーダイヤル=0120・783・556(午後4時~同9時。毎月10日は午前8時~11日午前8時)

・日本いのちの電話連盟

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