昨年末に「週刊文春」に性行為強要疑惑を報じられ、ダウンタウン松本人志(60)が同誌を発行する文藝春秋ほか1名を被告として起こした、約5・5億円の損害賠償請求等訴訟の第1回口頭弁論が28日、東京地裁で行われた。

松本は姿を見せず、双方の代理人弁護士が準備書面などを提出し、約5分弱で終了。松本側が、報道記事内で出た性行為を強要されたと訴えた「A子」「B子」の女性2人らの特定を要望していることなどが明らかとなった。次回は6月5日に行われる。

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元衆院議員で元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士(67)は、松本側が女性2人の個人情報を求めた点について「一緒にいた(スピードワゴンの)小沢さんらに聞けばいい話」とし「誰かはわかっているはずですが、この訴訟を相手のペースに乗せずに進めるための戦術、言い方は悪いですが嫌がらせのような揺さぶりをかけているのだと思います」と分析した。

文藝春秋側には情報源の秘匿の側面や「女性の情報を出さなくても名誉毀損(きそん)は認められないだろうというもくろみもあるだろう」と予想。「今後、訴訟などを受けた時に告発者の情報を出すという前例も作りたくないと思います」。流れ次第では裁判官が女性の出廷を求める場合もあるが断り続けることも可能といい「その時は取材記者が出廷するでしょう」と語った。

次回が6月5日にオンライン上で行われる点については「思っていたより遅いなと思いました」とし、このペースでいくと「松本さんが証人として出廷するとしても早くて来年くらい」と予想。松本側は飲み会参加経験者で性行為強要などはないと証言している霜月るならを証人として呼び、取材が十分でなかったことを証明することが最も大きな反論材料になるとしつつ「しかし今回の訴えは初報に対してのみなので直接関係のない霜月さんが出廷できる可能性は低い。追加訴訟を起こせば可能だが、そうすればもっと時間がかかる。手を広げすぎても必ず松本さん側に有利な状況になるとも限りません」。

決着の争点は「報道内容に真実相当性が認められるかどうか」とあらためて指摘し「次回はそれぞれが書類を作って方向性と戦略を固めてくる。具体的に深掘りをするので、裁判の流れが決まってくる重要な局面になると思います」と語った。