Mrs.GREEN APPLEの初5大ドームツアー「BABEL no TOH」最終公演を取材する機会に恵まれた。
同ツアーは、19年「EDEN no SONO」に始まり、23年「NOAH no HAKOBUNE」「Atlantis」と、ひとつの物語として紡ぐ“ストーリーライン”と呼ばれるシリーズ。旧約聖書やギリシャ神話になぞらえて、神様と人間との物語を描いてきた。
会場に入るとすぐ、物語の中に引き込まれた。入場すると、100人を超える“バビロンの街”の住人(キャスト)がお出迎え。開演前からアリーナの通路やステージで、日常生活を送っているようにパフォーマンスを展開していた。ライブが始まる前から“バビロンの街”に自分も入り込んだような没入感を体験した。音楽以外でもファンを楽しませる徹底したこだわりを感じ、早くも度肝を抜かれた。
セットリストも演出も物語として進む。序盤は「Love me,Love you」「CHEERS」などで、にぎやかで幸せな“バビロンの街”での暮らしを描いた。“バベルの塔”を建てる王、大森元貴(29)は、華やかな衣装をまとい、ファンを温かく出迎えた。
続く「パブリック」「おもちゃの兵隊」からは雰囲気が徐々に変わり、ステージの巨大スクリーンの奥から高さ20メートル、重さ100トンにも及ぶムービングステージ“バベルの塔”が登場。会場をどよめかせながら、「WanteD!WanteD!」「ライラック」を披露。神に近づく巨大な塔の完成に、ファンと喜びを分かち合った。
その後は物語が一変し、「絶世生物」「Ke-Mo Sah-Bee」などで、神にあらがった代償に神からの攻撃を受け、人々は分断される。スクリーンに表示された歌詞がヘブライ語やラテン文字などさまざまな言語で表示されるなど、神話を忠実に再現した演出に多くのファンが息をのんだ。記者もみるみるうちに物語に没入していった。
終盤は「コロンブス」「ANTENNA」「GOOD DAY」などで“バベルの塔”の崩壊から立ち直り、新たな楽園へと歩みを進め、最後の曲「天国」では、花道を天国への道に見立て、バビロンの住人とメンバーがゆっくりとステージへと吸い込まれていった。バンドのライブでここまでの没入感を体験したのは初めてで、思わず拍手してしまった。
2025年で「フェーズ2」を終え、1月1日から「フェーズ3」が始まった。物語の続きと新たなフェーズが、さまざまな苦難の末にたどりついた“天国”から始まるという美しさも含めて、ライブの域を超えた完璧な物語だった。音楽だけでなく、演出や展開まで、ファン目線で緻密に考えられているようで、記者も感動せずにはいられなかった。
「MUSIC AWARDS JAPAN」の最優秀アーティスト賞受賞や日本レコード大賞3連覇など、名実ともに史上最高のバンドのひとつになったMrs.GREEN APPLEが絶大な人気を集める理由を目撃でき、取材できて幸せだった。メンバー全員が30代前後とまだ若く、これからさらに成熟した音楽を聴けることが楽しみだった。【野見山拓樹】



