ガチンコ勝負が大逆転ドラマを生んだ。大島優子(21)が頂点に立った。AKB48選抜総選挙の開票イベント「母さんに誓って、ガチです」が9日、東京・JCBホールで開催され、09年の初の総選挙2位で、2日の中間結果も2位だった大島が、前年1位の前田敦子(18)の得票を上回り、トップ当選を果たした。1501票差を逆転する、3万1448票を獲得した。常に2番手だった“コリス”が、念願のAKB48のセンターポジションを奪取した。

 万年2位の優子が、まさかまさかの大逆転でトップ当選した。中間結果から1万1983票も上乗せし、絶対エースだった前田を597票も上回った。涙が止まらない。くしゃくしゃの顔で「ウソのようです…。今年はきっと落ちると思ってました。こんな光栄なことはありません…」と言葉を詰まらせた。

 09年も今回も、速報、中間結果ですら、1度も1位になれなかった。最後に差し切った劇的なドラマに、秋元康プロデューサー(54)は「ガチンコはすごい」と絶句した。

 以前から、劇場公演のパフォーマンスはNO・1との呼び声が高かった。バラエティー番組のトークや司会もこなすオールラウンダー。しかし、逆に「秋元さんには、いつもお前は期待値が高いから、それ以上のものが生まれてこない」と言われていた。スピーチでも「じゃあ、どこを伸ばせばMVPが取れるのか?

 ずっと考えていました」と、苦しかった胸の内を明かした。

 AKB48のコンサートでは毎回、1人のMVPが選ばれている。これまでの優子は、どんなにハイレベルな結果を披露しても、表彰されることがなかった。ついに最大の大舞台で、毎日の積み重ねが認められた。至福の瞬間だった。

 AKB48結成時からの“長女”チームAのエース前田を抜いた事実は、周囲にも優子本人にも影響は大きい。4カ月遅れでデビューした“次女”チームKのエースによる1位獲得は“三女”チームBのエース渡辺麻友や柏木由紀、今回躍進した名古屋SKE48のダブル松井ら、ほかのメンバーにも「頑張ればセンターになれる」と希望を与えた。

 そして「あっちゃんにしか分からない重圧を背負っている姿は、真横で見ていてすごかった」と、これまでサポート側だった優子は、期待を一心に背負って、初めて真ん中に立つ。秋元プロデューサーは「大島優子なら、ますますAKB48を引っ張って、輝かせてくれる」と太鼓判を押した。

 優子も感激に浸るだけで終わらせなかった。「去年は『私の背中を押してください』と言いましたが、1位という順位をいただいた今年は、押してとは言いません。ついてきてください !!

 AKB48が日本一のトップアイドルグループとして輝けるように、務めます」と、頼もしく誓った。直後には「苦しみすらも楽しみに変えてくれるAKB48にいる限り、青春時代をずっと送られます」と笑った。チーム1の度胸の持ち主が、国民的アイドルグループを、さらなる高みへけん引していく。【瀬津真也】

 [2010年6月10日8時56分

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