<NHK紅白歌合戦>◇12月31日◇NHKホール

 「第64回NHK紅白歌合戦」が、東京・渋谷のNHKホールで開催された。連続テレビ小説「あまちゃん」の企画コーナーでは、ヒロイン天野アキ役の能年玲奈(20)以下、主要キャストが役柄そのままに出演して、ドラマの挿入歌や芝居を披露した。

 「じぇじぇじぇ~!!」。こんな紅白見たことない。「あまちゃん」が一夜限りの復活を果たし、大舞台を席巻した。「第157回」。昨年9月28日の最終回に続く正式な「続編」と銘打たれ、主題曲が演奏されると「あまちゃん」企画コーナーはクライマックスに入った。

 キャストが役柄そのままに演じたコント寸劇から飛び出したアキ(能年)とユイ(橋本愛)の親友アイドルデュオ「潮騒のメモリーズ」が物語の柱となった「潮騒のメモリー」を歌い始めた。アキが「2番は大好きなオラのママが歌います」と紹介すると、母春子役の小泉今日子が登場。25年ぶりの紅白のステージに会場は大歓声に包まれた。アイドル時代をほうふつとさせる歌声が響き、ラストは、音痴な大女優鈴鹿ひろ美役の薬師丸ひろ子だ。音痴じゃない!

 着物姿でバラード版を見事に歌い上げると会場はどよめき、最高潮に盛り上がった。

 「暦の上ではディセンバー」や「地元に帰ろう」も、みんなで歌った。20人の主要キャストと、挿入歌を歌った実在のアイドルグループ、ベイビーレイズ。審査員席には祖母夏役の宮本信子と脚本担当の宮藤官九郎氏。あまちゃんファミリーで会場を占拠する中、アキ役の能年が「1年間ありがとうございました。いつかまた皆さんにお会いできる日を楽しみにしています…、じぇじぇ」とあいさつして、大団円となった。

 「あまちゃんずくめ」の紅白だった。オープニングからドラマの主題曲で始まり、開会の合図は能年が大鐘を鳴らした。前半の第1部でも寸劇が披露され、能年は随所で登場した。

 ドラマ放送終了直後の10月には「あまロス症候群」という言葉が生まれるほどに、国民に愛された。そんな朝ドラ史に残る名作は紅白までも前代未聞のエピローグの場に変えてしまった。【瀬津真也】