動物映画の金字塔が35年ぶりにスクリーンによみがえる。78年に公開されて大ヒットした映画「キタキツネ物語」が来年秋に、「キタキツネ物語~明日へ」として生まれ変わることが4日、分かった。未公開分を含めた当時の膨大なフィルム全77巻分を見直して再編集。劣化部分は、ハリウッドに持ち込んで最新技術で高画質化した。

 北海道オホーツクのキタキツネ家族が、厳しい自然の中でたくましく生きる過程を描いたドキュメンタリードラマ。前作は78年の公開時、230万人以上を動員した。翌79年にフジテレビで放送され、実写映画では歴代1位となる視聴率44・7%を記録。アニメ映画を含んでも、日本テレビが03年に放送した「千と千尋の神隠し」の46・9%に次ぐ2位という、いわば「国民的映画」だ。

 前作の助監督で、今回監督を務める三村順一氏(64)が再映画化の旗振り役となった。映画には、親ギツネが子ギツネを何度もかんで、親から自立させる「子別れ」の瞬間が収められている。児童虐待などがまん延する現代に、本当の家族とは何かを問いかけたい、という同監督の思いも込められている。

 声優陣は一新した。ナレーターに俳優西田敏行(65)、親ギツネ役に俳優佐藤隆太(32)、声優平野綾(25)をそれぞれ起用。さらに音楽は渡辺俊幸氏(57)が担当し、主題歌を山崎まさよし(40)が歌うことになった。

 前作当時に子供だった世代は親の世代になり、親世代は、祖父母の世代になった。関係者は「こんな世の中だからこそ、親子3代で見に行ってもらいたい」と話している。