今季は120試合制で、すでに51試合を消化している首位・ソフトバンクと2位のロッテが対戦する“首位決戦”。両チームともエース級の先発ではなかったが、こういう試合をどうやって勝ちにいくかが重要で、優勝争いが見えてくると思っていた。しかし、両チームとも手探りをしているような試合になった。

CSや日本シリーズなどの短期決戦で、無類の強さを見せるソフトバンクだが、シーズン中の戦いぶりは相変わらずだった。同点で迎えた3回1死一、三塁の場面では、遊ゴロで三塁走者の今宮がホームに突っ込まずに勝ち越し点を奪えなかった。何か特別なサインが出ていた可能性も低い状況で、完全なボーンヘッドだろう。集中力を欠いているような戦いぶりだった。

打線も組み替えが必要だろう。1番の周東も出塁すれば怖いが、まだまだ明らかに打力不足。これなら、ここ一番に代走で起用した方がいい。7番レフトで起用したバレンティンもひどい。第1打席で内角攻めをされると、その後の打席は腰が引けてしまっていた。守備力を考えれば、せめてクリーンアップを任せられるぐらいの状態でなければスタメン起用は厳しい。パワーピッチャーの多いパ・リーグで、すっかり打撃を崩してしまっている。

ロッテも4番に起用している安田に精彩がなかった。育てる意味で起用しているのだろうが、4番はそういう打順ではない。延長10回1死二塁で、マーティンを申告敬遠して安田と勝負。結果は変化球を打ってファーストライナー。惜しい当たりだったが、速い直球は打てそうもなかった。相手チームに圧力をかけられていない。優勝するチームの4番打者としては、まだ荷が重いだろうし、現状では井上を4番に置くべきだろう。

両チームとも決め手が不足して引き分け。2位タイの楽天を含め、首位争いは混戦が続きそうだ。その中で、いち早く自軍の「一番強い戦い方」を確立させたチームが有利になるだろう。(日刊スポーツ評論家)

ロッテ対ソフトバンク 10回裏ロッテ1死一、二塁、一直に倒れ悔しがる安田(撮影・鈴木みどり)
ロッテ対ソフトバンク 10回裏ロッテ1死一、二塁、一直に倒れ悔しがる安田(撮影・鈴木みどり)