最後を締めた甲斐野(右)は栗原とハイタッチ(2019年7月2日撮影)
最後を締めた甲斐野(右)は栗原とハイタッチ(2019年7月2日撮影)

ソフトバンクのルーキー甲斐野央投手(22)にとって、大きな成長につながる期間だった。6月16日に守護神の森が故障で出場選手登録を抹消され、約1カ月の間「代役抑え」として森不在のブルペンを守った。

「心細かったです。最初に失敗して、そこで『森さんの存在は大きいな』と感じました」。

森の離脱後、6月18日のヤクルト戦。3点リードの9回を投げきれず、イニング途中で嘉弥真に交代した。「そこからアドバイスをもらって、生まれ変われた感覚がありました」。森とはリハビリ期間もLINEなどで密に連絡を取り合った。心構えなど助言をもらい立ち直ると、「鼻が伸びてるんじゃないか」などと森にいじられつつ、森の復帰まで10試合で1敗7セーブとチームを支えた。

森が1軍に戻った21日楽天戦では、森が8回を抑え、その後の9回に投げる体験もした。「ベンチの方からヤジが聞こえてきましたね。『そこでも存在感出してくるんだな。うるせーな』と思いましたね」。言葉とは裏腹に、尊敬する先輩が戦列に戻ったことのうれしさを隠さず、笑顔満面で振り返った。

23日からは工藤監督が、森を抑えに戻すことを明言。甲斐野は以前の持ち場だったセットアッパーに戻る。「1球1球の大切さが抑えになってわかった。7、8回を投げるようになっても大事に投げていきたい」と前を向く。もちろん、いつかは森がいても、サファテがいても、抑えを務めたい目標はあるが「目指さないといけないけど、今はそんなこと言っていられない。森さんの調子が悪いときは9回を投げられるくらい、信頼されるピッチャーになりたい」。重責を背負った1カ月を戦い抜き、以前よりも頼もしくなったように見えた。【ソフトバンク担当 山本大地】

ソフトバンク甲斐野央
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