痛い。宿敵にとどめを刺す刃は、あと1歩、届かなかった。0-4の6回から反発して1点差。あと1本の場面を何度も作っただけに悔しさが倍増する。阪神が甲子園連勝を逃す惜敗を喫し、巨人に自力優勝の可能性を残し、ヤクルトに同率首位に並ばれた。残り18試合で巨人と3戦、ヤクルトと3戦。ペナントレースは逃げ切ってみせる!

 最後は鳥谷の打球が二塁手正面に飛んだ。歓声がため息に変わった。1点を追う9回2死一、三塁まで攻めながら届かず。最大4点ビハインドから猛追した。甲子園に詰めかけた虎党もゲームセットまで声をからした。それでも、結果は1つの敗戦。和田豊監督(53)はその重みをかみしめるように口を開いた。

 「あと1点? もちろん、最後はそういう気持ちでいったし。いけるところまでいったということ」

 先発メッセンジャーが2回に左翼マートンの失策もあって2失点。6回には阿部に2ランを浴びて2失点。6回までに0-4とされた。打線もここまで4敗を喫している巨人ポレダに5回までわずか1安打…。敗色濃厚な空気を一変させたのは主砲の一打だった。

 1-4で迎えた7回、福留を一塁においてゴメスがずっと苦しめられていたポレダの内角速球を右中間へ運んだ。二、三塁として天敵左腕をマウンドから引きずり降ろすと、ここから猛反撃した。梅野の2点適時打で1点差まで迫り、1度は突き放された8回にも再び1点差とした。

 「昨日の3打席目までとは明らかに違う。変化があるんで。きょうもゴメスが打つことで追い上げムードにもなるし、そこが上がってくると、つながりも出てくる。上向いてきているのは確かだよ」

 和田監督が前日9日に予言した通り、不振で5番に降格していた主砲に兆しが出てきた。安藤、福原を1点ビハインドで投入し、最後まで総力で攻めた。ただ、だからこそ余計に敗戦が重い。手ごたえを口にしながらも指揮官の表情は険しかった。

 残り18試合。内容を論じている時期ではない。結果がすべて。それを誰よりわかっているからこそなのだろう。負けは負け。現実が厳しくのしかかる。

 この敗戦で巨人を生き残らせ、ヤクルトに同率で首位に並ばれた。8月8日以来、1カ月以上守ってきた座を奪われるピンチだ。今日11日には広島黒田との対決が待っている。天敵、エース級との息もつかせぬ戦いの連続だ。

 「ここからは毎日がそういう投手が来るんでね。気持ちを新たにして、また、明日いきます」

 会見の最後、和田監督は自分に言い聞かせるように気持ちを切り替えた。10年ぶりリーグ制覇への道程は生半可な険しさではない。【鈴木忠平】

 ▼阪神は8月8日に首位を奪還して以降、33日間単独1位を守ってきたが、ついにヤクルトに同率で並ばれた。直接対決では12勝10敗と先行しているものの、シーズン中に同率で同じ勝ち数となった場合は、同じ順位と表記する。