これぞ“レベチ弾”だ。日本ハム中田翔内野手(30)が7日、甲子園での阪神戦で無風状態の中、逆方向へ1発を放った。

2回1死一、三塁、阪神新外国人のジョー・ガンケル投手(28=マーリンズ3A)から右中間席へオープン戦3号となる3ラン。1回にも先制の中前適時打を放つなど2打数2安打4打点の活躍で、本塁打数と打点で12球団2位につけた。やっぱり、今年の中田はレベルが違う。

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風が止まった甲子園の空に、緩やかな放物線を描いた。中田が放った打球は、甲子園の最深部、誰もいない右中間席で軽やかに跳ねた。4-0で迎えた2回1死一、三塁の第2打席。阪神の新助っ人ガンケルの初球、外寄りの146キロ直球をバットの芯で捉えた。「課題としていた逆方向へ打てたのが良かった。広いから、正直、入るとは思わなかったけどね」。追加点を挙げる3号3ラン。両手に残る手応えに満足げだ。

初球のストライクを振ると、決めていた。「積極的にいく姿勢だけは、なくしたくない」。先制の中前適時打となった第1打席でも、初球の速球を迷いなくはじいた。この日、2打数2安打4打点。「オープン戦だから重要視はしていない」と謙遜するが、本塁打数と打点で12球団2位につけ、例年以上に4番としての存在感を発揮している。

本人が「去年とはレベルが違う」と予言した通り、絶好調だ。今季からチームに加わった小笠原ヘッド兼打撃コーチの助言が大きい。06年に本塁打と打点の2冠に輝いた同コーチから、打席での心境や“目付け”を教わる。「その中で、体を開かずにボールに入っていくスタイルを、もっと作れるように」。最強を目指し、意識改革を二人三脚で進めている最中だ。

今年1月から、バットのヘッドを立てる打撃フォームに「自然と」なった。左右は違えど、周囲からは「小笠原さんに似ている」と言われる。この日、主砲の1発に笑顔を見せた師匠は「本塁打どうこうじゃなく、しっかり捉えるべき球を捉えている。俺はサポートする係。それが生きているのは、いいことです」と、うなずいた。

大阪桐蔭時代には春夏3度の甲子園出場で計4本塁打。プロでは16年オープン戦以来、4年ぶり3度目となる聖地でのアーチは“天性の飛ばし屋”の進化を証明する一打となった。【中島宙恵】

▽日本ハム栗山監督(中田の本塁打に)「入ると思わなかったな。初めて見たのは甲子園で高1の時だった。甲子園はメッセージをくれたり、宿題をくれたりする」