沖縄・うるま市出身の日本ハム上原健太投手(29)が故郷で快投を披露した。

沖縄セルラー那覇で開催された西武戦に先発し、今季最長となる7回4安打無失点、9奪三振。沖縄出身投手による沖縄開催のNPB公式戦初勝利はお預けとなったが、同郷の西武与座と繰り広げた投手戦で故郷の子どもたちに夢を与えた。チームは打線が振るわず、今季7度目の完封負けを喫した。

  ◇  ◇  ◇

マウンド上の上原から見えた、かわいい“後輩”たちがパワーをくれた。

上原 バックネット裏のちょっと上の方で少年野球チームの子どもたちが一生懸命、西武を応援していた。ああやって間近で見ているので、僕らがプレーをして何を感じてもらえるか。

上原は小学3年生の時に野球を始めた。県内の高校で野球部の監督を務めていた父健(たけし)さんに「野球をやれ、と言われて嫌々、始めました。おやじは怖かった…」。幼少期は水泳やバスケットボールが大好き。「野球自体は嫌いではなかった」というが、まさか将来の職業になるとは夢にも思わなかった。

持ち前の身体能力の高さは注目を浴び、高校進学時は県内の複数の高校から誘いがあったが、選んだのは広島の名門、広陵だった。理由は「ずっと県外に出たいと思っていた。あえて厳しいところがいいと思った」。15歳で故郷を飛び出して今年で15年目。いつしか夢となっていたプロ野球選手となり、この日は5年ぶりの凱旋(がいせん)先発。自らの使命を感じていた。

上原 沖縄からでもプロ野球は目指せるところなんだと感じてほしい。

打者のタイミングを外しながら、走っていた直球、抜群だったチェンジアップなどのコンビネーションで西武打線を7回無失点。新庄監督も「完璧。トップクラス」とうならせた快投だった。与座との投げ合いは決着付かずも、上原は「空気が合うんでしょうね。僕も与座も。(チームは)負けはしましたけど、いい姿を見せられたのは良かった」。上原が体現したメッセージは、きっと伝わったはずだ。【木下大輔】

【関連記事】日本ハムニュース一覧