オリックス平野佳寿投手(39)が史上4人目の日米通算250セーブを達成した。3点リードで迎えた8回の攻撃。「初めて敵チームを応援しました(笑い)。このままで(3点差で)頼むって」。思いが通じた9回のマウンド。先頭中島に右前打を許すも、表情一つ変えず3人を斬り両手を突き上げた。

メジャーを経験した39歳のベテランでも出番が近づくと、心臓の鼓動は速くなる。ブルペンの緊張感に慣れることはない。「いやですよ(笑い)。でも、それがなくなってしまうとだめなんじゃないかな」。打たれた時は落ち込む。家に帰ってくつろいでいてもシーンが頭をよぎる。「もうちょっと考えて投げればよかったな」。でも、気持ちを切り替えることはしない。

「ぱっと忘れてって言う人がいるかもしれないですけど、僕は強がりにしか聞こえへんなって思います」。翌日になれば、また出番を待つ。抑えれば自然と、いやな思いを忘れられる。「結果、切り替わったという方が、僕は正しい言い方なんじゃないかなと」。どんな感情からも逃げずに向き合い、マウンドに立つ。2年前、復帰会見に臨んだ気合の丸刈り姿。「1回しちゃったんで、そのほうが楽やし」。約1週間に1回、家で自らバリカンを持ち、きれいにそり上げて職場に向かっている。

守護神、リリーフ、先発でもフル回転しての達成はまさに鉄人だ。「まだ引退するつもりはないので、ここから1つでも伸ばせるように、若い子たちに負けないように頑張っていきたい」。2年連続日本一へ9回を守り続ける。【磯綾乃】

◆日本プロ野球名球会 日米通算250セーブをマークした平野佳は、名球会入りの資格を得た。名球会は78年に設立され、野球振興、社会貢献を目的にする団体。入会資格は日米通算で投手なら200勝または250セーブ、打者なら2000安打以上。入会資格に相当する記録保持者が、特例で入会する制度もある。理事長は古田敦也氏。

▼平野佳が今季29セーブ目を挙げ、史上4人目の日米通算250セーブ(S)を達成した。初Sは10年7月28日日本ハム16回戦(スカイマーク)で、内訳は日本で242S、MLBで8S。日米通算250Sは佐々木主浩381S、高津臣吾313Sに次ぎ3人目。日本だけで250S以上は407セーブの岩瀬(中日)と佐々木、高津の3人だけ。

▼平野佳は5月に日米通算200ホールドも達成。日米250セーブ&200ホールドは史上初だ。

▼平野佳は先発だけで18勝をマーク。14完投で9度の完投勝利もある。過去の通算250セーブ到達者で、これらの先発成績はいずれも最多だ。岩瀬、佐々木は完投ゼロ。高津は4度の完投(いずれも勝利)があるだけ。平野佳は先発&中継ぎ&抑えの「三刀流」で、快挙を成し遂げた。

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