大関とりの関脇朝乃山(26=高砂)が、横綱白鵬に押し出しで負けて3敗目を喫した。14日目は2敗でトップタイの横綱鶴竜と対戦。大関昇進目安の「三役で3場所33勝」に必要な12勝に向けて数字上は後がない状況だが、勝てば大関昇進の機運が高まる可能性はある。自身2度目となる優勝のためにも、白星で望みをつなげたい。白鵬、鶴竜と平幕碧山が2敗で首位に並んだ。

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報道陣が大勢待ち受ける支度部屋外のミックスゾーンに、朝乃山はすがすがしい表情を浮かべて歩み寄ってきた。「今日から3日間が大事と思っていた。横綱戦も2回あると思っていたので、自分の相撲を取りきるつもりだった。でも取り切れなかったのは弱い自分がいた」。大関昇進の目安の今場所12勝に向けて、後がない状況にもかかわらず率直な言葉を吐き出した。

横綱に何もさせてもらえなかった。立ち合いで得意の右を差せず、右四つを許して上体を起こされると、一気に土俵際へ。逆転を狙って右に動きながら振り払うと、同時に土俵を割ったかのように見えたが、自分の左足がワンテンポ速く土俵の外に落ちた。「集中力、厳しさが足りなかった。土俵際で回っておけばと思った。そこも弱いところです」と弱点を自覚した。

大関昇進に向けて、試練の3番勝負の最初でつまずいた。14日目は不戦勝を除いて過去1勝1敗の鶴竜と対戦する。通常なら午前中に行われる審判部による翌日の取組編成会議が、この日は優勝争いを見据えて全取組終了後となったため、朝乃山が会場を引き揚げる際にはまだ14日目の対戦相手は分からず。それでも「先は考えずに1日一番、自分の相撲を取りきって頑張ります」と集中した。

場所前には行きつけの整骨院に通い、曲がっていた背骨を矯正した。そのかいあってか、今場所も力強さを見せている。泣いても笑っても、今場所は残り二番。ビシッと2連勝で締めくくり、夢の大関昇進をかなえる。【佐々木隆史】