日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)の定例会合が、大相撲初場所千秋楽から一夜明けた24日、東京・両国国技館で開かれた。報道陣の代表取材に応じた矢野弘典委員長(産業雇用安定センター会長)は、新型コロナウイルスの感染防止ガイドラインに違反し、6場所連続休場処分となっている十両朝乃山(27=高砂)について、委員の意見として“処分解除”を具申する声があったことを明かした。

矢野委員長によれば、話題として朝乃山についての意見があり「どうしているんだろうと。6場所(の休場処分)は何とかならないのかな、という意見も出まして」とし「横審として意見があるわけではないんですけどね」と、あくまでも要請などではなく“雑談レベル”での話だったことを強調。それでも同委員長は「ファンの中に、そういう考えを持っている人もいて、その意見の代弁でもあると思う。彼に対する期待を表現できないのは惜しいのではないかと、そういう意見だと私は思います」と話し、処分を前倒しで解除する“恩赦”を求める声が一部のファンにあることを説いた。

正式な意見でなく、会議ではその後の進展はなし。会議後に芝田山広報部長(元横綱大乃国)は、朝乃山の近況について「部屋付きの親方から毎日、稽古しているということだったが、すぐに(場所に)出るということではないので、目標がない中ではあるが、体は動かしているということ」と説明。当然ながら“恩赦”などはなく、矢野委員長も「次の有力な横綱候補が、あの出来事で処分を受けて、それは合理性も納得性もあったが、相撲を取れない状況で、どれだけ自分を律して稽古出来るかということ。本人は鍛錬を怠らずやっていると聞いている。休場明けに備えて心身を鍛えてほしい」と話した。