新型コロナウイルス感染拡大の影響で映画館が閉鎖され、新作映画やドラマの撮影も延期され、イベントの中止や新作映画の公開延期に伴って華やかレッドカーペットも皆無のハリウッド。エンターテイメント業界にも失業や不況の波が押し寄せていますが、ハリウッドセレブの写真を撮って生計を立てるパパラッチたちも苦境に立たされています。パパラッチには主に2つのタイプがあり、セレブのパパラッチ写真を専門に扱うフォトエージェントと月額契約をしているか、写真を持ち込んで売るフリーランスがいますが、ロサンゼルスやニューヨークなどハリウッドセレブが多く暮らす街で不要不急の外出が禁止され、セレブたちも自宅に閉じこもっているために写真を撮影することができないのです。

レニー・ゼルウィガー
レニー・ゼルウィガー

レッドカーペットでの華やかなドレス姿やデート現場、ナイトクラブで遊ぶ姿や高級レストランやカフェで食事をする姿などセレブの素顔や私生活が垣間見える写真を多くの人が望んでおり、これまではネットやゴシップ誌にはそうしたセレブの写真が溢れていました。しかし、今はレストランもカフェも閉鎖されており、飛行機で移動することもないので空港にもセレブはおらず、高級ブティックで買い物を楽しんだり、ビーチでの日光浴やヨガ帰りに野菜ジュースを片手に街を歩くと言ったお決まりのセレブの写真を撮るチャンスもありません。唯一の機会は生活必需品の買い出しに出かける時と犬の散歩やジョギングなどで自宅から外に出てくる瞬間のみ。セレブが買い物に出没するエリアや自宅周辺で張り込みし、社会的距離と言われるソーシャルディスタンシング(他の人から1・8m距離を保つ)を意識して車の中からそうしたセレブの姿を望遠レンズで撮影する日々だと言います。

しかし、多くの場合がインパクトのある写真にはならず、さらに今ではマスク着用で表情も分からないので売れる写真を撮ることも難しいと言います。一方で外出自粛中のセレブたちの多くは、隔離中の生活の様子をSNSで発信しているため、多くのファンはSNSをフォローしていればセレブの写真や動画が見られるのもパパラッチには痛手になっていると言います。それでも米国内で爆発的な感染拡大が始まる前はマスク姿で出歩くセレブの写真は物珍しく、需要もあったと言いますが、今では誰もがマスク姿なのでインパクトがない限りは興味を持たれなくなっています。

そんな中、先日はレニー・ゼルウィガーが医療従事者のために購入自粛を求められている医療用マスクN95を着用して買い物する姿が久々に話題になった他、外出禁止が呼び掛けられる最中に故郷イギリスを離れてフロリダ州の別荘に滞在中のロッド・スチュワートが家族と買い物を楽しむ姿がパパラッチされて話題にもなりました。多くのパパラッチが契約を打ち切られる中、フリーランスとしてそんな数少ないシャッターチャンスを狙って張り込みを続けるたくましいパパラッチたちが、今なお残っているようです。彼らの次の狙いは移住したロサンゼルスで雲隠れを続けるヘンリー王子とメーガン妃であることは間違いなく、2人の近影が撮影される日を多くの人が心待ちにしていることでしょう。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)