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井之上隆志さんは舞台を愛し誰からも愛された名俳優

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 俳優井之上隆志さんが3月4日、下咽頭がんのため56歳で亡くなった。昨年11月の舞台「雪まろげ」が最後の仕事になった。

渡鬼おやじバンドの(左から)山本コウタロー、村田雄浩、角野卓造、井之上隆志、佐藤B作(写真は2008年9月30日)
渡鬼おやじバンドの(左から)山本コウタロー、村田雄浩、角野卓造、井之上隆志、佐藤B作(写真は2008年9月30日)

 87年に男6人だけの劇団「カクスコ」結成に参加した。古いアパート「サツキ荘」や古道具屋「朝日堂」などを舞台に、町の片隅に生きる等身大の男たちの姿を描き、劇中で必ずアカペラを2、3曲披露した。本拠とした劇場は今はない新宿の「シアター・トップス」。三谷幸喜率いる東京サンシャインボーイズとともに人気があり、見終わった後にはいつも温かい気持ちになる舞台だった。

 02年に解散後は舞台を中心としながら、ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」にも出演。劇中では角野卓造らと「渡鬼おやじバンド」を結成し、パーカッションの担当で、CDデビューも果たした。中村勘三郎さんにもかわいがられ、歌舞伎座の舞台やコクーン歌舞伎に出演したこともある。宮崎出身なので、勘三郎さんがつけたは屋号は「日向屋」だった

 15年12月にがんと判明し、その後は抗がん剤治療などで入退院を繰り返しながら仕事を続けた。5月に道学先生公演「丸茂芸能社の落日」、7月には春風亭昇太、六角精児らと組んだGSグループ「ザ・フルーツ」北海道ツアーにも出演した。関係者は「きつい抗がん剤治療で体も弱って、近くの公園を散歩するだけでも息があがっていたが、舞台に立つと、病み上がりと思えないほど元気だった」と明かす。「雪まろげ」の稽古中に手術の予定があったため、前半こそ代役が出演したが、中盤に復帰。芸者にのめり込む男をコミカルに演じ、地方公演の千秋楽まで舞台に立ち続けた。今年3・4月の藤山直美主演「おもろい女」にも出演予定だったが、2月に体調が悪化。入院して休演を決めたが、その後、藤山のがん治療のため、公演そのものが中止となった。

 温厚な中年男役から冷徹な悪役までさまざまな役柄を巧みに演じる脇役だった。俳優仲間のラサール石井はブログで「素晴らしい役者でした。何も面白いことが書かれていなくても彼がやると爆笑でした。『役者』という呼び方がこれほど相応しい人はいなかった。そっちから後に残る役者や演劇を見守っていてほしい」としのんだ。関係者によると、6月に道学先生公演が決まっていたほか、秋と冬、そして来年にはラサールと一緒の舞台を予定していた。関係者は「舞台が大好きだった。舞台に立つことが生きるエネルギーになっていた」と振り返った。舞台を愛し、多くの人に愛された人だった。【林尚之】

華やかな舞台、輝く役者。夢の世界であると同時に、そこには舞台裏とさまざまな人間模様もあります。演劇、演芸について、林尚之記者がさまざまな切り口から伝えます。あなたも、演劇の世界がきっと好きになります。

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