民放各局の冬ドラマが始まりました。職業柄、ドラマの1話目は見るようにしています。世の中のトレンドから遅れないように、そして今後、人気が出そうな俳優さんを探します。特に学園モノだと、各事務所が売り出す新人の品評会になりつつあります。ちょうど年末に再放送していた「ごくせん」(日テレ系)や定番の「3年B組金八先生」(TBS系)シリーズなんかは、仮面ライダーや戦隊ものと同じく若手俳優の登竜門的なドラマとなっていたかと。最近だと菅田将暉主演の「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日テレ系)。放送から2年しかたっていないのに、すでに生徒の中から何人かブレーク俳優が生まれています。

さて、今回のドラマ。「相棒」(テレ朝系)や「遺留捜査」(テレ朝系)といった人気シリーズから、好スタートをきった綾瀬はるか主演の「天国と地獄」(TBS系)など魅力的な作品がめじろ押し。中でも注目しているのは、宮藤官九郎が脚本を手がけた長瀬智也主演の「俺の家の話」(TBS系)と、菅野美穂主演の「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」(日テレ系)。前者は、俳優活動が最後?とうわさされる長瀬とクドカンの何度目かのタッグ。これまた年末に放送していた人気作「タイガー&ドラゴン」(TBS系)の影響もあり、注目している人も多いはず。後者は久々のドラマ主演の菅野美穂。主演しているドラマは良質なものが多く、今回もとても楽しみです。しかもシングルマザー役で、娘役にはブレーク中の浜辺美波。北川悦吏子が脚本を書き、これでもかとの番組宣伝を経て1話目を視聴。ドラマの内容はさておき、気になった俳優をようやく紹介です。

岡田健史(おかだけんし)、21歳。18年放送のドラマ「中学聖日記」(TBS系)で主人公(有村架純)の相手役に大抜てき。最近では話題になった「MIU404」(TBS系)にもエリート刑事で出演。ドラマ、映画、CMとまさに飛ぶ鳥を落とす勢いの若手俳優の1人です。

中学1年生(福岡在住)の冬から5年間にもわたってスカウトを受けていたらしく、野球で言うところのその年代で最も注目されるドラフト1位(通称ドラ1)といってもよいかと。事務所は桐谷美玲擁するスウィートパワーの男性版、その名もスパイスパワー。堀北真希、桐谷美玲を売り切った事務所が、高杉真宙の次に売る気満々かと。これまでの活躍を見ると、ドラ1らしくのびのびとした成長曲線を描き、国民的俳優になるのも時間の問題と言えるのではないでしょうか。

今回のドラマでは浜辺美波が通う大学の同級生。これまで実直で骨太な役が多かった中、今回は少し様子が違い、今どきのすこしチャラ目の大学生を演じています。作品のカラーも相まってそれがなんとも…。まだ始まったばかりなので結論を出すのは早いが、ミスマッチな役かもしれない。2年目にフォームを改造されて調子を落とすドラ1をどこか想像してしまいました。

皆さんの目にはどう映ったでしょうか?今後、日本を代表する役者になれるのか?その後、海を渡ってメジャーで活躍できるのか?2年目のジンクスは始まったばかりである。(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画監督・谷健二の俳優研究所」)


◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて青山でカレー&バーも経営している。20年11月28日には最新作「渋谷シャドウ」も公開。

岡田健史(20年11月撮影)
岡田健史(20年11月撮影)