月刊の映画専門誌「映画秘宝」を編集、制作する合同会社オフィス秘宝は26日、岩田和明編集長が同誌の公式ツイッターのダイレクトメッセージ(DM)を使い、一部のツイッターユーザーにどう喝的な発言をしたことについて謝罪し、同編集長に厳正な処分を下すとの文書を発表した。

同誌は前日25日夜に公式ツイッターで一連の経緯を説明した。

岩田編集長と同編集部の岡本敦史氏が5日にTBSラジオで放送された「アフター6ジャンクション」に出演し、8日発売の「別冊映画秘宝 決定版 韓国映画究極ガイド」や韓国映画について語った。それに対し、一部の女性リスナーが17日午前11時半に男性2人での出演と女性ゲストがいないと苦言のツイートをした。それ対し、同編集長は同午後12時58分に、同誌の公式ツイッターアカウントから女性リスナーのツイッターアカウントに、以下のDMを送った。

「突然、たいへん失礼いたします。今、心の底から深く深く心が傷付き、胸が張り裂けそうなほど大きなショックを受けて、死にたいです。私は、『俺たちの~』も『ポンコツ』も、いちども言ったことがありません。純粋な悪口ということでしたら、これは誹謗中傷でしょうか。いま、胸が締め付けられるほど苦しくて、呼吸が乱れており、壊れそうなほど深く心が傷付き、あまりのショックの大きさから、何も手が付けられない状態にいます。死にたい。」(原文のまま)

合同会社オフィス秘宝取締役の田野辺尚人執行役員、町山智浩、柳下毅一郎両相談役、編集部一同連名の文書によると、岩田編集長は聞き取りに対し「仕事などで疲労とストレスがたまっていた際に、小誌編集部に対する意見を書かれているツイートを拝見し、その内容によって頭に血が上り衝動的に攻撃的な内容のダイレクトメッセージを送った」と述べたという。

その上で、編集部の見解として「雑誌という公共性を持ったメディアが個人に対して攻撃を加える行為を、断じて許せない行為だと考えます。被害者の方に深く謝罪を申し上げます」と謝罪した。

その上で、岩田編集長が編集部に対し謝罪文を送る前に、DMを送った女性リスナーに対して直接、電話で連絡していたと明らかにした。文書では「看過することができない」とした上で「預かり知ることができませんでした。謝罪のためとはいえ、被害者にとって暴力的であり、それを未然に防ぐことのできなかった責任は編集部にあると考えております」とした。

その上で「『映画秘宝』は映画から、差別や暴力の恐ろしさを学び、その上で弱者に寄り添うことを編集上のポリシーとして雑誌の制作を続けてきておりました。今回の岩田の行為は、本誌の心情と真っ向から対立する、許しようのない行為です」と岩田編集長を批判。「本誌編集部としては、後日の協議にて、岩田に対して断固たる処分を下します。追って処分内容を、ご報告させていただきます」と岩田編集長を処分すると明言した。

「映画秘宝」は、1995年(平7)に田野辺、町山両氏が創刊誌の洋泉社から出版。20年2月に同社が宝島社に吸収合併され、解散したことを受けて同1月21日の同3月号を持って一時、休刊した。その後、休刊時の編集長だった岩田氏らが合同会社オフィス秘宝を結成し、「映画秘宝」の商標権を習得した上で、双葉社から4月21日に6月号を発行し、復刊した。独自色の強い編集方針は、芸能人、文化人、著名人にも支持者が多く、復刊は大手メディアでも広く報じられ、話題となった。