タカラジェンヌを育成する宝塚音楽学校107期生の卒業式が3日午前、兵庫県宝塚市の同校で行われ、39人が夢への第1歩を踏み出した。

例年、卒業式後には成績上位4人が取材に応対するが、新型コロナウイルス感染防止策のため、今年は上位4人が同校を通じてコメントを発表した。

首席の西村あみさん(東京都港区)は、退団公演中の雪組トップ娘役真彩希帆にあこがれ「芝居心を大切に、歌や踊りでも魅力を見せることのできる娘役になりたい。初心をいつまでも忘れずに、謙虚にひたむきに、感謝の心を大切に努力して参ります」と決意。

コロナ禍で昨年4月から約2カ月臨時休校となり、オンラインでの授業もあった。本科生として過ごした1年を振り返り「すべてがかけがえのない思い出」と言い、2月には卒業公演となる文化祭も無事に終え「このような状況の中で文化祭に向かって同期とひとつになり、時にけんかもしながら熱を注いだ日々は、最高に幸せでした」と感謝した。

兵庫県宝塚市の門間(もんま)さや香さんは、星組トップ娘役の舞空瞳を目指し「かれんで素直な心を大切にしたい」。例年と違い、行き先が近場の県内となった修学旅行を「一生忘れない思い出」と話した。

7歳で宝塚歌劇を観劇し「雷が落ちて」志望し、入学した鳴瀬陽(はる)さん(山形市)は「(7歳から)1度もあきらめることなく、宝塚の舞台を目指して頑張ってきました」と言う。当時から「自分で自分の限界を決めない」との言葉を胸に歩み、ついに夢への船出にいたった。

また、仙台市出身の遠藤杏紗(あずさ)さんは、地元の仙台が東日本大震災から10年の節目に、卒業を迎えた。遠藤さんは「自粛期間は不安な毎日でしたが『明けない夜はない』と信じ、舞台に立てる日を夢見て頑張るしかないと、今も日々奮闘しております」。入団後も、さらなる研さんを誓った。

今年の卒業生は、成績上位4人すべてが娘役。もともと、宝塚では「男役10年」と言われ、しぐさはもとより、男役発声や低音歌唱の習得には時間を要するもので、音楽学校時代は娘役の上位者が多かった。だが近年は、全国各地に受験スクールができ、素地を学んで入学する者もおり、入学後も成績優秀なまま上位で卒業する男役も増えていた。ただ、今年は、コロナ禍もあってか、上位4人が娘役となった。

107期生39人は、6月25日に宝塚大劇場で開幕する宙組公演で初舞台を踏む。