嵐松本潤(38)が主演する23年放送の次期NHK大河ドラマ「どうする家康」の撮影が進んでいる。か弱い少年だった家康がいかにして天下人となるのか、同局が「新しい家康像」を掲げて作る作品だ。

脚本は、ドラマ「リーガルハイ」や「コンフィデンスマンJP」シリーズの古沢良太氏が手がける。家康を主人公にすることは古沢氏たっての希望だったという。大河ドラマの常連キャラクターを挙げたことに驚いたというが、磯CPは「古沢さんの思い描く家康像が非常にユニーク」と、同氏のプレゼンに引き込まれたという。

磯CPによると、古沢氏が考える家康は、今川義元の人質として豊かな少年期を過ごし「恵まれた環境の中で、好きな勉強や趣味に没頭できて、食べるものにも困らないところで生活していけば、一番幸せな時間だったかもしれない」。また「ある時今川義元が討ち取られたことによって、三河に戻らなければならなくなった。織田信長や武田信玄というそうそうたる武将に囲まれながら、生きるか死ぬかの戦いを迫られる中で、何とかみんなの手を借りて生きのびることができ、最終的には天下を取ったという話が、古沢さんが憧れるサクセスストーリーだと。そういう物語を書くことが、現代の若い人や人生悩んでいる人への大きなメッセージになるのではとおっしゃった」と話した。

この古沢氏の考えに「面白いなと思った。家康はボスキャラというか、『真田丸』でもラストに出てくる手ごわい相手だけど、家康目線に立つとそういう物語かもしれない。今の人たちにエールを送るものになるのでは」と納得したという。

本作で古沢氏が描く若き家康のイメージは「情けないプリンス。殿と呼ばれながらその実ひ弱で、いつも意見がブレて、周りにたしなめられる」。江戸時代の基礎を築いた天下人、という印象とはかけ離れたフレーズが並んだが「松本潤さんにお願いしたら、気品がありつつ弱い部分も表現してくれるだろうと思った」とオファー理由も話した。

ドラマは6月上旬にクランクイン。実際に現場で松本が家康を演じる様子を見て「ユーモラスで魅力的。エンターテイナーとして才能が感じられて、『こういう家康がいるかも』という説得力がありつつ、愛嬌(あいきょう)がある」。松本の演技については「おこがましいですが、集大成のように感じます。今演じているところは10代後半ですが、若い頃の松本さんの芝居をほうふつとさせるようなところもある。殿としてのたたずまいもあれば、やんちゃなところもある。今までドラマで見てきた松本さんのいろんなものが集約されている」と手応えを語った。

松本も繊細な家康役を楽しんでいるようで、会見では「家康が天下を取ることは決まっているストーリーだけど、本当にこいつが取るのか? という始まり方」と紹介。共演の松重豊(59)も、松本演じる序盤の家康について「カリスマ性がみじんも見えない」と笑わせながら、「周りが何とかしようと思う魅力あふれる家康が生まれつつある。この人、大丈夫かな? というところがあって、非常に魅力です」と語った。

企画は新型コロナウイルスが広がる20年6月ごろから走り始め、古沢氏とは「閉塞(へいそく)感があるから面白いものを見たいよねと。エンターテインメントが何をやるべきか話した」という。松本自身も「ヒーローは何でも出来て完璧というより、抜けがある方が愛されるということもある。それが『今っぽい』と言うなら今っぽいのかな」と話す。親近感に満ちた新しい家康像は、今の視聴者にどれだけ刺さるのか。来年の放送を楽しみにしている。【遠藤尚子】