新型コロナウイルス対策による4度目の緊急事態宣言が発令されている中、東京・渋谷ではお酒を片手に路上飲みをする若者が後を絶たない。23日に開幕する東京五輪を前に、渋谷センター商店街振興組合小野寿幸理事長(80)は「路上ではもう騒がないでくれ。家で楽しんでほしい」と強く訴えた。

小野氏によると、飲食店の酒類提供禁止に伴い、センター街などでは、若者の路上飲みが増加したという。小野氏は「若い男女がひっくり返って酔っぱらっている姿を見る。街としては風紀が乱れて困る」とあきれた様子で話した。路上飲みが増えた分、街では空き缶やペットボトルなどの不法投棄が増えたという。「『自粛で疲れたから。ストレスがたまったから』とか自分勝手が過ぎる。皆がしていれば良いとでも思っているのか」と疑問を呈した。

開催まで目前となった五輪も不安材料の1つだ。「期待している選手やチームが勝ったり負けたりしたらまた大騒ぎするでしょう」。サッカーW杯が開催された時には勝利した日本をたたえ、スクランブル交差点で「ニッポンコール」が深夜まで続いた。コロナ禍の五輪がどこまで盛り上がりを見せるのか、先行きは不透明だがファンが密集し騒ぐ事を懸念している。

小野氏は路上飲みについて「ハロウィーンに次ぐ、若者の新しくて悪いスタイル」と、トラブルが多発するイベントを引き合いに酷評した。ハロウィーンは例年仮装した若者でごった返し、18年は軽トラックを横転させる事件が発生。路上飲酒を禁じる条例を施行した19年でも逮捕者は出た。渋谷区のホームページによると、条例はハロウィーン周辺の日にちと年末年始のみに対応しており、五輪期間は対象外。小野氏は「区と協力して、注意を呼びかけることしかできない」とし「警察もオリンピック期間中はテロ対策として警戒すると思う。路上のみ1つ1つには対応しないだろう」と話した。五輪に対する批判も高まっている中、若者の街・渋谷では自主協力が求められそうだ。【沢田直人】