高校1年生の中山楓奈(ふうな、16=ムラサキスポーツ)が銅メダルを獲得した。予選を1位で通過すると、決勝のベストトリックでも大技を成功。富山から夜行バスで東京まで練習に通った頑張り屋が、世界の表彰台に立った。長い黒髪をなびかせながら、西矢とともに日本のスケボー少女の強さを見せつけた。

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逆転の金メダルを狙った5本目のトリックに失敗すると、中山は天を仰ぎ、すぐに西矢に駆け寄り祝福した。「(西矢)椛が1位にいたので逆転しようと思ったけれど、ダメでした」。少し悔しそうに言ったが、銅メダル獲得には「うれしいです」。いつものクールな表情が少しゆるんだ。

予選を1位で通過して迎えた決勝。2本のランで4位につけると、ベストトリック2本目、ボードの先端で斜めにレールを滑る「フロントサイドKグラインド」を成功。ここまで最高点の5・00を出した。世界ランク上位陣のミス連発を尻目に、4本目の同じトリックでメダルを確実にした。

小学校3年の時、父洋志さん(44)に連れられて富山市内にできたスケートパークを訪れたのがスケボーとの出合い。誕生日にボードをねだるほど、夢中になった。2年で大会に優勝できるようになり、中1で強化指定選手に選ばれた。

洋志さんの車で、新潟など近隣県のパークでも練習した。19年からは毎週末に施設が整った東京に遠征。土曜の夜に夜行バスに乗った。早朝に着くと午後1時のパーク営業開始まで漫画喫茶で仮眠と勉強。仲間と1日滑り、その日の夜には再び夜行バスに乗った。最初は洋志さんが付き添ったが、途中からは1人。ひたすら、練習を続けてきた。

今春まで通った富山市立山田中は全校40人ほどの山あいの学校。級友の助けを借りながらスケボーに熱中した。進学した龍谷富山高の同級生たちはこの日、市内のパブリックビューイングで声援を送ってくれた。地元の友人たちに感謝しながら、大舞台を滑った。

緊張しやすい性格だが、「観客がいなかったから、いつもよりプレッシャーなく滑れた」。抽選で入った予選3組が西矢と一緒だったことでリラックスできた。まだ16歳。10代で迎える次のパリ大会に向けて「出られるなら、出てみたい」と言った。スケボーに出合って7年。メダルの色を変える時間はまだまだある。

◆富山が生んだスター なんといっても、日本人で初めてNBAドラフト1巡目でウィザーズに指名された、東京五輪男子バスケット代表の八村塁。富山市立奥田中バスケットボール部出身。この夏は、日清食品にリクエストし、地元では有名なB級グルメから「カップヌードル 氷見カレー ビッグ」も発売中で、こちらも人気爆発。同じバスケット代表の馬場雄大も富山出身で八村と同じ中学の先輩。レスリング女子でリオデジャネイロ五輪金メダリストの登坂絵莉、大相撲では大関朝乃山らもいる。あのドラえもんを生んだ漫画家の藤子不二雄も、2人とも富山出身。芸能人では柴田理恵や西村まさ彦らが活躍しており、3~5月には、ホタルイカも富山湾で光っている。